6月13日、出入国管理法などの改正案が、参議院本会議で可決されました。
主な改正内容としましては、「国際貢献」を目的とした技能実習制度から、「労働力不足解消」を目的とした育成就労制度に移行することになります。
🔵 2023年末時点で日本に在留する技能実習生は40万4556人。「特定技能」は専門の技能があると認められた外国人に与えられる在留資格で約20万人。
出入国在留管理庁・厚生労働省:技能実習制度 運用要領
🔴育成就労制度のポイント
🔵労働者としての人権を尊重する
技能実習生に対するいじめや嫌がらせなど、人権を侵害する行為について規制が強化されます。
厚生労働省:技能実習生に対する人権侵害行為について(注意喚起)
🔵3年で専門性のある「特定技能」の水準にまで技術を習得させる
技能実習制度から育成就労制度に移行することで、より育成に対する比重が高まります。
※出入国在留管理庁:特定技能1号の各分野の仕事内容 ・ 特定技能2号の各分野の仕事内容
🔵対象職種の見直し
技能実習制度の対象職種は、特定技能の対象職種と相違し、移行後に働き続けられないケースがありました。育成就労制度では、経験を活かすため、特定技能1号の各分野の仕事内容と対象を揃えます。
厚生労働省:技能実習制度 移行対象職種・作業一覧 R5-10-31
🔵転籍が可能になる
現在は「特定技能」の外国人労働者は転籍が認められていますが、在留資格で許可された事業所以外では働けないため、転籍にまつわるトラブルが多発しています。下記は某お菓子メーカーでの転籍トラブルが大きくニュースで取り扱われました。育成就労制度では、1〜2年後に同じ業務で職場を変えることを認める方針です。
NHK:転籍した外国人など80人以上 働けず待機を余儀なくされる
🔵家族帯同は現状と同じ
育成就労の3年間と特定技能1号の5年間の計8年間は家族帯同は認められません。技術習得に励んで欲しいという事ですが、人材確保・人権尊重という面では厳しい条件ではあります。
🔵永住許可の取り消し要件が追加
現状の「1年超の実刑判決」に加え、「税金や社会保険料の滞納」や、「入管難民法の義務違反」も追加されます。
🔵転籍のあっせんはハローワークや監理支援機関のみ
民間の仲介業者は認めない。不法就労助長罪も厳罰化(拘禁刑3年以下又は罰金300万円以下 → 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金)
なぜ、技能実習制度から育成就労制度に移行する必要があるのか? それは特に近隣諸国(台湾、韓国など)との人材獲得競争が激化しており、日本で働いてもらう魅力をアピールする目的があるためです。今後ますます日本の労働力人口が減少するのは確実ですので、外国人の労働力確保は重要な戦略です。ただ、生活習慣や宗教、考え方など相違する部分も数多くあります。世界的には珍しい単一民族が多い日本で、多民族化・多言語化していく事に対する法整備なども大きな課題になりそうです。
外国人雇用に関する記事 「6/1~6/30は外国人雇用啓発月間です」もご参考下さいませ