昨年大幅な上昇があった最低賃金が、今年も昨年以上の上昇額で改定されます。政府の目標とする賃金アップで物価上昇を支えるという言葉通りの大幅アップでの回答です。ただ弊所のお客様の中には、これだけ賃金が上昇していくと採算が合わなくなって厳しいという声も多く聞かれます。2020年代に最低賃金1500円を目標に掲げる石破内閣。今回は最低賃金の改定について見ていきます。
🔴最低賃金とは
最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と「同額」の定めをしたものとされます。したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との「差額」を支払わなくてはなりません。
出典:厚生労働省「最低賃金制度とは」
🔵最低賃金の対象となる賃金

🔵最低賃金の適用される労働者の範囲
最低賃金には、地域別最低賃金及び特定最低賃金の2種類があります。
地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されます。特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に対して適用されます。
🔵派遣労働者への適用
派遣労働者には、派遣先の最低賃金が適用されます。
🔴最低賃金の計算方法(大阪の場合)
【日給】

【月給】

🔴各種データ
🔵2024年と2025年の比較

🔵地域別最低賃金の推移

🔴全国の地域別最低賃金
地域順



最低賃金順



上昇幅順



出典:厚生労働省「令和7年度 地域別最低賃金 答申状況」
今回は2025年度、最低賃金の改定を見てきました。冒頭でもお伝えしましたが、急激な賃上げに企業の負担は重くなっています。特に中小企業では、価格に転嫁できず苦しんでいるところが多い印象です。また一般消費者も主食の高騰、円安による海外からの輸入品の高騰などによる急激な価格の上昇により実質賃金がマイナスになり困っているご家庭も多くあります。2020年代に最低賃金1500円という目標に達するには、あと5年で382円の上昇、1年あたりにすると76.4円のアップになります。このままの上げ幅でいくと決して無理な数字ではありませんが、価格に転嫁されるのであれば、賃金は上がったけど暮らしは豊かにならないということにもなりかねません。果たして賃上げをする目的は何なのかというところをもう一度考える必要があるかも知れません。











