2025年4月1日より、育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)が改正され段階的に施行されます。近年は働き方改革などもあり、労働者の就業環境に配慮することが企業でも当然のように求められ、採用や人材定着などにも影響を及ぼします。実務上でも重要かつ活用頻度の高い法律の改正となりますので、改正ポイントを見ていきたいと思います。
🔴育児・介護休業法とは
第1条(目的) この法律は、育児休業及び介護休業に関する制度並びに子の看護休暇及び介護休暇に関する制度を設けるとともに、子の養育及び家族の介護を容易にするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めるほか、子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする。
出所:e-GOV法令検索
難しい文言が並びますが、大きく分けると下記のようなイメージになります。
🔴今回の改正について
2025年4月1日より施行
①子の看護休暇の見直し【義務:就業規則等の見直し】
②所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大【義務:就業規則等の見直し】
③短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加【選択する場合:就業規則等の見直し】
④育児のためのテレワーク導入【努力義務:就業規則等の見直し】
⑤育児休業取得状況の公表義務適用拡大【義務】
⑥介護休業を取得できる労働者の要件緩和【労使協定を締結している場合:就業規則等の見直し】
⑦介護離職防止のための雇用環境整備【義務:①~④のうち複数の措置を講じること】
⑧介護離職防止のための個別の周知・意向確認等【義務】
・介護に「直面した」旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認
・介護に「直面する前」の早い段階(40歳等)での情報提供
⑨介護のためのテレワーク導入【努力義務:就業規則等の見直し】
2025年10月1日より施行
⑩柔軟な働き方を実現するための措置等【義務:就業規則等の見直し】
・育児期の柔軟な働き方を実現するための措置
(事業主は下記の5つのうちから2つ以上の措置を選択して講ずる必要がある)
※②と④は、原則時間単位で取得可とする必要があります
・柔軟な働き方を実現するための措置の個別の周知・意向確認
(3歳に満たない子を養育する労働者に対する個別の周知・意向確認)
⑪仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮【義務】
・妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取
・聴取した労働者の意向についての配慮
事業主は、上記により聴取した労働者の仕事と育児の両立に関する意向について、自社の状況に応じて配慮しなければなりません。
出所:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
今回は2025年4月1日~・10月1日~と段階的に改正・施行される「育児・介護休業法」の改正ポイントを見てきました。今回の改正では裾野を広げ、選択肢を増やし、柔軟な働き方に対して重点的にバックアップしています。特に介護に関しての問題はますます増えていくと予想されますので、仕事と家庭の両立をどう実現していくか、そのためにどう配慮すべきかが大きな課題です。