事業をされている皆様は、大企業から中小企業までが1つの製品やサービスにおいて関わり合いを持つ、サプライチェーン(供給網)の一翼を担われている場合も少なくありません。災害などの不測の事態があった場合、当該事業がストップしてしまうと他の会社の事業にまで影響を与えてしまうことになります。その結果、事態が収束したとしても取引をストップされてしまったり、取引が減少したり、最悪の場合、損害賠償にまで発展する可能性もあります。BCPは策定しているものの、運用がなされていなかったり、従業員に周知されていなかったりといったケースも少なくありません。企業の制度等は、策定2割・運用8割で考えることが重要です。※策定で終わらない
🔴BCPとは
事業継続計画(Business Continuity Planning)の頭文字をとったものです。
企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。 日本では2011年の東日本大震災をきっかけにその重要性が注目されています。
🔵BCP策定の目的
1、被害の把握を迅速にする
・不測の事態の際の従業員の安否確認や、被害状況、事業の継続可能性などの確認等、パニックになるであろうという事までシュミレーションしておくことで、迅速な対応がとりやすくなります
2,事業の早期の復旧
・全面的に操業不能なのか、一部操業可能なのか、それぞれの役割分担はどうするのか(取引先への連絡、修理業者への連絡、保険会社への連絡)など早期復旧計画を立てます
3,サプライチェーンなどへの復帰
・復旧したとしても、仕事が無くなってしまえばどうにもなりません。1・2を迅速に行い、復旧予定等を報告・連絡・相談しておくことで、復帰への可能性が高まります。
🔵中小企業庁のBCP策定の手順
①優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
②緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
③緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議しておく
④事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
⑤全ての従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておく
どれも事前準備が重要だということです
🔵中小企業BCPの要点
・企業同士で助け合う
・緊急時であっても商取引上のモラルを守る
・地域を大切にする
・公的支援制度を活用する
🔴日本のBCP活用事例
出典:中小企業庁「事業継続計画・製造業記入例」
・中小企業庁「ダウンロード資料」
・NTTビジネスソリューションズ「自社のBCPだけでは不十分!サプライチェーンまで見据えた取り組みとは?」
・東京海上日動「BCPかんたんナビ」
🔴海外のBCP活用事例
・ZDNET「最悪の事態にしない最善策–海外事例に見る事業継続の取り組み方」
・インターリスク総研「海外におけるBCP策定のポイント①」
・IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「米国におけるBCP(事業継続計画)、DR(災害復旧)への対応状況」
🔴終わりに
つい先日、九州地方で大きな地震がありました。被害にあわれた皆様の一刻も早い復旧を願うとともに、南海トラフ地震の備えとしても、今一度BCPについて考えて頂ければと思います。