労働安全衛生規則の一部を改正する省令が令和7年4月15日に公布、同年6月1日から施行されることとなっています。大企業では既にセミナーなどでの周知が行われていますが、中小企業の中ではまだ改正をご存知でない企業様も多くいらっしゃるかと存じます。今回は来週から施行される内容について見ていきたいと思います。
🔴熱中症とは
高温多湿な環境下で、発汗による体温調節等が上手く働かなくなり、体内に熱がこもった状態をさします。屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、場合によっては死亡することもあります。
熱中症の症状と分類
出典:厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」
熱中症による死亡数の推移
出典:厚生労働省「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~令和5年)」
🔴今回の改正の概要
上記対策を怠った場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
体制整備
➀報告体制の整備(報告をさせる体制の整備)
熱中症を生ずるおそれのある作業が行われる作業場の責任者等報告を受ける者の連絡先及び当該者への連絡方法を定め、かつ明示することにより、作業者が熱中症を生ずるおそれのある作業を行っている間、随時報告を受けることができる状態を保つことが含まれるものであること。
➁周知
事業場の見やすい箇所への掲示、メールの送付、文書の配布のほか、朝礼における伝達等口頭など必要に応じて、複数の手段を組み合わせて行うこと。
🔴実施手順例➀
熱中症による健康障害発生時の対応計画
実施手順例➁
事業場における報告先の掲示例
🔴WBGT値とは
職場における熱中症予防基本対策要綱においてWBGT値(暑さ指数)の活用が推奨されています。
「暑熱な場所」とは、暑さ指数28以上または気温31度以上の環境で、
「暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業」とは上記の場所で、連続1時間以上、または1日4時間を超える作業をいう。
出典:厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」
その他の参考になるサイト
日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン 2024」
環境省「熱中症予防情報サイト」
厚生労働省「熱中症関連情報」
厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド(中小企業の事業主、安全・衛⽣管理担当者・現場作業者向け)」
今回は簡単ではありますが、6月から改正になる点を中心に見てきました。報告の体制をどうするのか、実施手順はどうするのか、またその周知はどうするのかというところが大きなポイントです。罰則を強化したいのではなく、熱中症による重症度が低い段階で気づき重篤化を防ぐことが目的になります。詳細は参考になるサイトをご覧くださいませ。