情報流通プラットフォーム対処法(正式名称:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)が1ヶ月前倒しされ、4月から施行されることになりました。この法律については表現の自由を侵害するのではなど様々な意見が出ています。改正前の法律の内容と比較しつつ見ていきたいと思います。
🔴改正前の法律との比較
出所:e-Gov「法令検索」
🔴権利侵害等とは
対象となる権利・利益
情報の送信を防止する義務が生ずる場合
出所:総務省「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律第26条に関するガイドライン」
🔴結論
出所:総務省「情報流通プラットフォーム対処法の省令及びガイドラインに関する考え方」
🔴日本国憲法「第21条」
【表現の自由に関する裁判例】最大判平成元・3・8「法廷メモ訴訟事件」
【裁判所の判決(抜粋)】•憲法21条1項の規定は、表現の自由を保障している。そうして、各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会をもつことは、その者が個人として自己の思想及び人格を形成、発展させ、社会生活の中にこれを反映させていく上において欠くことのできないものであり、民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達、交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめるためにも必要であって、このような情報等に接し、これを摂取する自由は、右規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれるところである。
【報道の自由に関する裁判例】最大決昭和44・11・26「博多駅テレビフィルム提出命令事件」
報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の「知る権利」に奉仕するものである。したがつて、思想の表明の自由とならんで、事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法二一条の保障のもとにあることはいうまでもない。また、このような報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道の自由とともに、報道のための取材の自由も、憲法二一条の精神に照らし、十分尊重に値するものといわなければならない。
出所:総務省「日本国憲法 第二十一条 集会、結社及び言論」
今回は4月から施行の「情報流通プラットフォーム対処法」について見てきました。ネットでの悪質な誹謗中傷や、闇バイトなどの情報を規制する法律改正ですが、情報統制に繋がるのではと危惧される方もいらっしゃいます。ガイドライン等を見る限りでは憲法に抵触しないと感じますが、実際はどのような運用がされるのかが今後争点になりそうです。