先日、元衆議院議員の弁護士が詐欺被害金の回収を巡って非弁提携行為をしたとして逮捕された事件がありました。これは弁護士法27条に規定されており、「弁護士や弁護士法人が、非弁活動を行う者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させることは禁止されています。」とあります。
また非弁活動とは、弁護士法72条から74条3項まであり、主なところは弁護士法72条の俗に言う「非弁行為」をいうことが多いです。
🔵弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができません(ただし、弁護士法又は他の法律に特段の定めがある場合は、この限りではありません。(弁護士法72条)。出典:日本弁護士連合会(日弁連)
弁護士だけではなく、社労士にも社会保険労務士法というものがありますし、税理士や司法書士にも税理士法・司法書士法というものがあり、独占業務を無資格者がした場合には違反行為となります。
非弁行為のポイントは、法律事務に該当するかどうかが争点になります。法律事務とは、鑑定、代理、仲裁・その他の法律事務のことをいい、その他の法律事務とは、法律上の効果を発生,変更する事項の処理をいうとあります。また法律上の効果を保全,明確化する事項の処理も含むと抽象的に書かれており、具体的には書かれていません。
社労士が陥る非弁行為の例でいうと、顧問先の社長に会社の代理人として従業員に退職勧奨をしてほしいと言われたとします。この場合、法律事務を行う代理人となれる権限を有するのは弁護士だけなので、72条違反(非弁行為)となります。また退職勧奨の場に同席すること自体は72条違反には当たりませんが、従業員からの質問に答える場合、少しでも法的紛議が不可避なもの(平成22年7月20日最高裁判例・弁護士法違反被告事件 全文 であれば弁護士法72条違反の罪が成立するとあります。
社労士の立場としては、まずは紛争が起こらないようにルールを整え、周知し予防すること。イメージで言うと街のクリニックのような感じです。万が一、社労士が手に負えないような法律事務が必要となる場合には、法律の専門家である弁護士につなぐことも必要となります。総合病院への紹介状を書くイメージです。その際に優秀な専門医と連携ができれば、迅速な問題解決にもつながります。
先日の記事で「◯◯士? 弁護士、税理士・・色々な専門家たち」を書きましたが、野球で言えば各ポジション(専門分野)ごとに与えられた役割をしっかりこなし、クライアントのサポートが出来るようなチーム作りをしていきたいと思います。