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遺族厚生年金が見直し?中高齢寡婦加算も対象に?

厚生労働省が遺族厚生年金の見直しを検討しているとしてニュースになりました。見直しをする大きな理由としては下記のようなものが出ていました。

男女の賃金差が縮まってきたので、男女格差をなくすため 

共働きが増えてきたので、遺族年金がなくてもやっていける

複雑で解りづらい厚生年金を、データとして考察していきたいと思います。

※注意:今回は解りやすさを重視しているため、特例やイレギュラーな場合・公務員等を省き、一般的な場合を想定して説明しています。


🔴国民年金と厚生年金

年金でまず難しいのが、国民年金と厚生年金の2つがある(共済年金等は除いています)というところです。よく1階部分が「基礎年金」で2階部分が厚生年金でとか言われると、基礎年金という別の3つ目の年金があるように感じてしまいます。基礎年金=国民年金のことです。

年金


🔴年金の3つの主な役割

老齢【老齢年金】・・老齢期になったときに出る年金

障害【障害年金】・・病気やケガで障害を負ってしまったときに出る年金

死亡【遺族年金】・・死亡した人の収入で生活していた遺族に出る年金

3つの年金


🔴年金の保険料

・保険料も国民年金と厚生年金で違っており、国民年金は「定額」、厚生年金は報酬(給与)に応じて「変動」します。

 「国民年金保険料」  令和6年度:16,980円(1ヶ月)

「厚生年金保険料」  令和6年度:※標準報酬月額×18.3%(保険料率)この保険料を「会社」と「労働者」で折半します

※標準報酬月額とは、毎月の給料などの報酬の月額を「区切りのよい幅で区分」した額

例えば、報酬が202,500円なら、195,000円~210,000円の区分の「200,000円」で計算

厚生年金保険料:令和6年度版


🔴遺族厚生年金の支給要件

・妻:年齢要件なし

・夫:55歳以上であること → (見直し検討)年齢要件なし

🔵遺族厚生年金の支給額

・死亡した被保険者が貰えるはずだった※「老齢」厚生年金の3/4(最低保証:25年分に満たない時は25年分)

※老齢厚生年金は、平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者期間の月数

例えば、報酬の平均が30万円・被保険者期間が25年(300月)の場合:493,290円

🔵遺族厚生年金はいつまで支給されるか

①配偶者の死亡当時、30歳未満かつ遺族基礎年金の受給権なし

②遺族基礎年金の受給権はあるが、30歳前に受給権が消滅

①・②の場合:5年間のみ

それ以外:一生涯 ← (見直し検討)5年間に


🔴中高齢寡婦加算の支給要件

遺族厚生年金の受給権者である妻であって、

・遺族厚生年金の権利を取得した当時、40歳以上65歳未満の者

・40歳に達した当時、死亡した被保険者の子で遺族基礎年金の支給要件に該当するものと生計を同じくしていた者

🔵中高齢寡婦加算の支給額

・遺族基礎年金(780,900円×改定率)の3/4 ※令和6年度:612,000円  ← 今回、廃止の検討


🔴男女の賃金格差

男性100:女性74.8

日本の男女間賃金格差は、男性の賃金水準を100%としたときの女性の水準は74.8%(2023年)にとどまる。9割以上のスウェーデンや8割以上の米国やドイツ、フランスなどに後れをとり、先進7カ国(G7)で最大の格差だ。

日本の女性管理職比率は約13%(22年)で、男女の賃金格差と同様、30~40%台の欧米主要国との差が開いている。

結論:賃金格差は縮小傾向にあるとはいえ、欧米に比べると賃金格差は大きい

出典:東京新聞「男女の賃金格差はG7で最悪 どう解消する? 政府、格差公表を義務付ける企業の対象を拡大へ」


🔴共働きのデータ

1980年から2020年のデータを見てみると、専業主婦世帯が半減し、共働き世帯が倍増しています。

専業主婦世帯と共働き世帯

また、共働き世帯の妻のデータを見てみると

共働きの妻

出典:総務省「労働力調査」

結論:遺族年金がなくてもやっていけるかも知れないが、年齢によっては厳しい


このお知らせコーナーでは、薄く広く「気づき」を得て頂くための情報を発信しているので、あまり社労士の仕事内容についての発信はしていませんが、今回は大きなニュースでしたので取り上げました。(かなり端折った部分も多いですが)厚生年金は改正が頻繁にあり特に複雑で、理解しづらいと思います。お金もかからず一番わかりやすい説明を求めるなら、「日本年金機構にいる職員さんや社労士」に相談するのが間違いないと思います。以前の記事でもお伝えしましたが、社労士はほとんどが労働分野で仕事をしています。年金分野については資格取得のときは勉強しましたが、実務では相談があったときに専門書を見るくらいです。年金を専門にしていない社労士よりも「日本年金機構にいる職員さんや社労士」のほうがよっぽど詳しいですし、無料相談もできますので気になる点があればぜひご相談なさって下さい。年金相談も受け付けている開業社労士もいますので一概には言えませんが。もちろん弊所にご相談頂いても構いませんが顧問先様以外は料金が発生してしまうので・・・。

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