昨日に引き続き、通年採用や欧米との違いについて見ていきたいと思います。
🔴アメリカの就職事情
アメリカでは新卒一括採用が無い
そもそも新卒採用という概念がありません。日本では3年の夏ごろになれば就職活動に追われますが、アメリカでは学生は勉強が本文なので在学中はしっかり勉強し、卒業後に就職活動を始めます。
通年採用を行っている
新卒枠もなく、学生も自分のタイミングで就職活動をするので、年間通じて門戸は開かれています。
日本よりも学歴が重視される
実力社会のアメリカでは、「良い大学=能力が高い」という評価に繋がります。アメリカではKSA「Knowledge(知識)」「Skill(スキル・技術)」「Ability(能力)」)が重視され、これらが無くてもできる仕事は給料が安く、KSAの要素が高い仕事は高給をもらえます。
大学での成績、学部、専攻も重要視される
アメリカでは専門的な知識を企業でどう活かしてもらえるのかが採用の焦点となります。即戦力を求めている企業が多く、求められるレベルも当然高くなるので卒業するまでしっかりとした知識・経験を得ようとします。
奨学金を取得していると評価される
特に返済義務のない奨学金を取得している学生は、成績上位者であることから高い評価を得ます。
ポジション別で採用される
日本では総合職・一般職という括りが一般的ですが、アメリカでは職種ごとに採用が行われ、採用から昇格、解雇まで部署の責任者に一任されています。
即戦力が求められる
日本では入社してからキャリアを重ねるのが普通ですが、アメリカではほぼ100%の学生が将来を見据えてインターンシップに参加し、必要なスキルや実務経験を得てから入社することが一般的です。
選考フローすべてがオンラインで完結する
国土が広いため、非効率な移動はしません。エントリーはwebへのアップロードやメール、面接はSkypeやZoomで行うことが一般的です。
転職回数が多くても問題ない
アメリカ人の平均転職回数は10回以上。いくら優秀でも就きたいポストが埋まっていれば空くまで待つか、転職するかになります。また合併や買収、レイオフなどもあり、自ずと転職回数が多くなることもあるので、転職に対してのネガティブな感情はありません。
出所:アリゾナ州立大学サンダーバード「アメリカと日本の就職活動の違い9選」
🔴通年採用を行っている主な企業(日本・企業名順)
※現在は募集していない可能性があります。職種に限定している場合もあります。詳細は各社ホームページをご確認ください。
🔴中小企業の人事担当者に聞いた通年採用による負担
中小企業では人事の担当者が少数・いない場合がある
特に新卒の採用については内定を出してから入社に至るまでのフォローも大切な業務になります。入社してくれるものと思っていた人材が他社でも内定が出た場合、内定辞退してくることも多々あります。民法では労働契約の解約という扱いになり、原則14日前であれば内定者の自由に解約することができます。
教育のカリキュラムを組むのが難しい
通年採用では教育スケジュールを組むのが難しく、繁忙期に入社した場合には十分な指導が出来ず、放置状態になってしまうことも。その場合、この会社ではキャリアを築けないという理由で最悪の場合退職に至るケースもあります。
採用にかける時間的・金銭的コストが限られている
通年採用では継続的に募集をするため、広告掲載やホームページの運用など時間的にも金銭的にも負担が増大します。
今回は昨日に引き続き、通年採用について見てきました。日本は新卒一括採用、アメリカはジョブ型採用が主流で、アメリカ人からすると日本の新卒至上主義的な採用は普通ではありません。同じような髪型・同じようなスーツ、定型的な受け答えなど、多様性を尊重するアメリカ人には異様とも思えるようです。日本の良いところを残しつつも、海外の良い仕組みを融合させて、労使双方にとってWin-Winになるような形になっていくよう願っております。(就職氷河期世代より)