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社会保険106万円の壁・130万円の壁について

最近103万円の壁のニュースが良く報道されています。それに伴い、社会保険106万円の壁についても厚生労働省が変更をするのではという報道もあります。弊所もクライアント様から様々な壁についてよく解らないから説明してほしいとの連絡があります。今回は、解りにくい壁についてのご説明と、実際のシュミレーションを交えて見ていきたいと思います。


🔴103万円の壁(税金)

国民民主党の玉木代表が、選挙公約に掲げた103万円の壁。先日の記事「知っておいて損はない税金の基礎知識」で簡単に内容をご説明させて頂きました。103万円の根拠は48万円の基礎控除と55万円の給与所得控除を合わせたものになります。

🔵178万円の根拠

現在の103万円を178万円に変更する理由としては、103万円が設定された当時(1995年)の最低賃金の全国平均が611円、現在は1055円で1.73倍に上がっています。103万円×1.73=178.19万円ですので、小数点を省いた178万円となっています。

壁1


🔴106万円・130万円の壁(社会保険)

原則:年収130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、自分で社会保険料を払う必要がある(130万円の壁)

例外:年収130万円以下でも次の4つすべてに当てはまれば、配偶者の扶養から外れ、自分で社会保険料を払う必要がでてくる(106万円の壁)

① 従業員が51人以上の企業などに勤務

② 週20時間以上働く

③ 月額賃金が8万8000円以上(年間約106万円)

④ 学生ではない


🔴今回の制度改正の話

上記の例外の②だけ残し、①③④は廃止する改正案(まだ決まっていません)。

① 従業員数の撤廃

③ 収入の要件(106万円の壁)の撤廃

④ 学生要件の撤廃

※将来的には②の要件(週20時間以上働く)も撤廃される可能性もあります。

※雇用保険は2028年10月1日より、週20時間以上から週10時間以上に変更になるので、そのタイミングで合わせてくるかも知れません。もしくは3号被保険者制度の廃止があれば、否応なく扶養という概念が無くなる可能性もあります。

【40歳・月収10万円でのシュミレーション】

壁2

※健康保険料には介護保険料(1.6%)を含んでいます


🔴社会保険に加入する大きなメリット

年金額が増える(老齢・障害・遺族等)

国民年金に加えて厚生年金が上乗せされます。老齢だけではなく、障害・遺族の保障もあります。

病気やケガの保障が手厚くなる

傷病手当金の支給がある(病気やケガで働けない状態が3日以上続く場合に、4日目から最大で通算1年6か月間、標準報酬月額の2/3が支給される)

🔵社会保険に加入する大きなデメリット

保険料の負担が発生する

扶養を外れた場合、社会保険料の自己負担が発生する。だいたい報酬の15%ほどと結構な金額となる。


🔴40歳から65歳まで25年間、社会保険に加入した場合のシュミレーション

🔵週20時間以上・賃金15万円(1ヶ月)・大阪府在住・40歳の場合

壁3

※会社も「同額」の保険料を負担することになります。

🔵65歳から年金受給し85歳で亡くなった場合(老齢年金)

壁4

※年金年額1,043,300円なので、約7年(事業主負担分を加味すれば14年)で、受給額>支払額になります。

※解りやすいように特例等は省いて試算しています。実際の年金額は変動もありますので、上記の金額は参考としてご覧ください。

出所:全国健康保険協会「令和6年3月分~ 適用 ・介護保険料率


年金に関しては世代間で扶養しているので、自分が支払った年金が自分に返ってくるわけではありません。人口減が予測されている現状では、政府としては年金額を減らすか、給付を後(うしろ)にするか(例えば70歳から受給)の選択になるかと思います。今回取り沙汰されている社会保険の制度改正では、年金を支払う人数を増やしていくというビジョンですが、中小企業の負担がとても大きくなりますので、その対策はどうするのかが問題になりそうです。

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