民事争訟法と刑事訴訟法、記事にする予定はなかったのですが、やはり気になって放っておけませんでした。六法に含まれている重要な法律ですので、概略だけでも見ていきたいと思います。
🔴民事訴訟法とは
第1条 民事訴訟に関する手続については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。
・個人や企業などの間で発生した法的な紛争を解決するための「裁判手続き」を言います。
🔵民事訴訟の種類
①通常訴訟
個人の間の法的な紛争,主として財産権に関する紛争の解決を求める訴訟
(例)貸金の返還,不動産の明渡し,人身損害に対する損害賠償など
②手形小切手訴訟
特別の規定によって審理される手形・小切手金の支払を求める訴訟
③少額訴訟
簡易迅速な手続により60万円以下の金銭の支払を求める訴訟
④その他
離婚や認知の訴えなどの家族関係についての紛争に関する訴訟である「人事訴訟」、公権力の行使に当たる行政庁の行為の取消しを求める訴訟などの「行政訴訟」など
出所:裁判所「民事訴訟の種類」
🔴令和4年の法律改正
令和4年に成立し、公布された「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する法律」により、民事裁判を国民がより利用しやすいものとする。本格施行は公布から4年以内(令和8年まで)。
民事訴訟のIT化
民事訴訟の早期解決、個人情報保護の推進
※1:当事者双方の申出・同意がある場合 ※2:当事者がDVや、犯罪被害者であるケース等
・一部は既に施行されているものもあります。
🔴民事訴訟法は何条あるの?
・民事訴訟法は405条で構成されています。他の主な法律(六法+α)と比較してみます。
🔴民事訴訟法の中身
総則
第一審の訴訟手続
上訴
督促手続
執行停止
🔴刑事訴訟法とは
第1条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
刑事訴訟法とは、犯罪が起こって、捜査がはじまります。そして犯人が逮捕・勾留され、裁判が行われ判決後に刑が執行されます。この一連の刑事手続について定めた法律です。出所:京都先端大学「生きていく上で、知っておきたい。 実は身近にある、刑事訴訟法という法律。」
🔵刑事訴訟とは
・検察官によって起訴された被告人について、実際に犯罪行為をしたのか? 刑罰を科すべきか? などを裁判官が判断する手続きです。日本国憲法の第31条「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」が大原則になります。
🔵起訴と不起訴
検察官は,被害者・目撃者などから事情を聞いたり,被疑者(犯罪を犯した疑いがあり,捜査の対象とされている者)を取り調べるなどの捜査を遂げた上で,証拠に基づいて犯罪の成否,処罰の要否等を考慮して事件を起訴するか不起訴にするかを決めます。起訴されると裁判所に起訴状が送られ裁判に移ります。
🔵略式裁判と正式裁判
略式裁判
略式裁判とは,検察官の請求により,簡易裁判所の管轄に属する(事案が明白で簡易な事件)100万円以下の罰金又は科料に相当する事件について,被疑者に異議のない場合,正式裁判によらないで,検察官の提出した書面により審査する裁判手続です。
簡易裁判所において,略式命令が発せられた後,略式命令を受けた者(被告人)は,罰金又は科料を納付して手続を終わらせるか,不服がある場合には,正式裁判を申し立てる(略式命令を受け取ってから14日間以内)ことができます。出所:検察庁「略式裁判について」
正式裁判(公判)
正式裁判とは、検察官が警察から送検(送致)されてきた刑事事件について、犯罪の発生と犯人が明らかであり、きちんとした手続きで処罰すべきであると考え起訴した場合に行われるものです。正式裁判は全て公開の法廷で行われ誰でも見ることができます。そのため家族や事件関係者、報道関係者が傍聴していることもあります。
正式裁判では全て法律に従って手続きが行われ、検察官が出した証拠に対して被告人・弁護人(弁護士)側から反論をすることもできます。裁判官は被告人の言い分を直接聞いて、判決を言い渡すことになります。有罪判決がなされた場合、懲役(もしくは禁錮)刑か、罰金が言い渡されることになります。懲役刑が言い渡された場合、執行猶予が付かない限りは刑事施設に収容されてしまうことになります。その有罪判決に不服がある場合には、弁護士を通して「控訴」することもできます。
出所:あいち刑事事件総合法律事務所「正式裁判とはなにか」
🔴刑事訴訟における刑罰の種類
①死刑
絞首によって受刑者の生命を絶つ刑罰
②懲役刑
刑務所に収容されて、刑務作業という強制労働に従事させられる刑罰
③禁固刑
懲役刑と同じく刑務所に収容される刑罰ですが、刑務作業を強いられません
④罰金刑
1万円以上の金銭を徴収される刑罰
⑤拘留
30日未満の身柄拘束を受ける刑罰
⑥科料
1万円未満の金銭を徴収される刑罰
⑦没収
死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料という「主刑」に付加できる刑罰(付加刑ともいう)
出所:ベリーベスト法律事務所「刑事訴訟における刑罰の種類」
🔴実刑と執行猶予
実刑とは、執行猶予がつかない刑と定義されています。
執行猶予とは、刑法第25条に「次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。」と定義されており、
①禁固以上の刑に処せられたことがない
②禁固以上の刑を処せられたが、刑の執行が終わってから5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない
③刑の執行を猶予された者が、1年以下の懲役または禁固の言い渡しを受けたが情状酌量された場合。ただ保護観察中に更に罪を犯した場合は執行猶予は取り消される。
🔴刑事訴訟法は何条あるの?
・刑事訴訟法は516条で構成されています。他の主な法律(六法+α)と比較してみます。
🔴刑事訴訟法の中身
総則
第一審
上訴
裁判の執行
概略だけ見ていっても結構なボリュームがありました。難しい法律をわかりやすい言葉でお伝えできるように、日々勉強したことをアウトプットしていきたいと思います。1週間ありがとうございました。