🔴民法とは
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
簡潔に表現すると、民法は私人間の権利と義務を定めた法律で「私法の一般法」と言えます。
🔴民法の3大原則
①権利能力平等の原則
人はすべて平等の権利能力を有する
②私的自治の原則
人は自らの約束(意思)に基づいてのみ拘束される
③所有権絶対の原則
物の所有者は、何らの制約なく自由にその物を使用・収益・処分できる
🔴民法は何条あるの?
・民法は法律で一番条数が多く、1,050条あります。他の主な法律(六法+α)と比較してみます。
🔴民法の中身
・大きく分けて、「総則」・「物権」・「債権」・「親族」・「相続」に分かれます。
総則
物権
債権
親族
相続
🔴120年ぶりの民法改正
・明治29年に施行された民法ですが、民法(債権関係)を改正する法律が、平成29年5月26日の衆議院本会議で可決・成立し、同年6月2日に公布されました。施行は令和2年4月1日からとなります。
主な改正点
①消滅時効
改正前:原則10年、個別案件によって年数の違いあり(飲食代金は1年・工事代金は3年など)
改正後:債権者が権利を行使することができることを知った時から5年・権利を行使することができる時から10年
②法定利率
改正前:民事が年5%、商事が年6%
改正後:年3%(3年毎に金利を見直す変動制を採用)
③保証
改正前:個人の根保証契約については、「限度額」がなかった。
改正後:個人の保証人を保護する規定(安易に保証人となることによる被害の発生防止)が詳細に定められた。極度額の定めのない個人の根保証契約は無効になる等
④定型約款
改正前:規定なし
改正後:一定の約款(宿泊約款や旅行約款、保険約款など)を「定型約款」と定義し、そのルール(定型約款を契約内容とする旨の表示を要求する等)を決めた
⑤意思能力
改正前:規定なし
改正後:意思能力(判断能力)を有しないでした法律行為は無効であることを明記
⑥将来債権の譲渡
改正前:債権譲渡禁止特約をした場合、その特約に違反した債権譲渡は無効
改正後:将来債権の譲渡(担保設定)が可能であることを明記
⑦賃貸借契約
改正前:規定なし
改正後:賃貸借終了時の敷金返還や原状回復に関する基本的なルールを明記
🔴2024年に施行される法律(民法)
嫡出推定制度の見直し(2024年4月1日施行)
改正前:女性の離婚後100日間の再婚禁止
改正後:女性の離婚後100日間の再婚禁止期間が廃止。それに伴い、離婚後300日以内に生まれた
子どもも、再婚した夫の子と推定される
🔴2024年に成立した法律(民法)
父母の離婚後等の子の養育に関する見直し(2024年5月17日成立)
・婚姻関係の有無にかかわらず父母が子に対して負う責務を明確化 817条-12
・親権が子の利益のために行使されなければならないものであることを明確化 818条
・離婚後の親権者に関する規律を見直し 819条
・婚姻中を含めた親権行使に関する規律を整備 824条-2
・監護の分掌に関する規律や、監護者の権利義務に関する規律を整備 766条、824条-3等
・養育費債権に優先権(先取特権)を付与(債務名義がなくても差押え可能に) 306条、308条-2等
・法定養育費制度を導入(父母の協議等による取決めがない場合にも、養育費請求が可能に)766条-3
・婚姻中別居の場面における親子交流に関する規律を整備 817条-13等
・父母以外の親族(祖父母等)と子との交流に関する規律を整備 766条-2等
・養子縁組後の親権者に関する規律の明確化、養子縁組の代諾等に関する規律を整備 797条、818条等
・財産分与の請求期間を2年から5年に伸長、考慮要素を明確化 768条等
(婚姻中の財産取得・維持に対する寄与の割合を原則2分の1ずつに)
・夫婦間契約の取消権、裁判離婚の原因等の見直し 754条、770条
出所:e-Gov 法令検索
法務省民事局「民法等の一部を改正する法律の概要」
民法に関してはまだまだ情報があるので今回は一旦ここで締めさせて頂き、今後追記していきます。