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知ってるようで知らない法律 ②商法

🔴商法とは

第1条  商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の定めるところによる。
 2   商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法の定めるところによる。
【優先順位】  商法(特別法)> 商慣習 > 民法(一般法)

商法1

※明治32年に商法が出来るまでは、商慣習に従って商売が行われていきましたが、1890年にドイツの商法を参考に旧商法が作られました。


🔴商法と会社法

平成17年成立の「会社法」が出来るまでは、商法に「会社に関する規定」がありました。

商法は商人全てを対象にした一般法で、会社法は会社に限定した特別法になります。

【優先順位】 会社法(特別法)> 商法(一般法)

商法2


🔴商法と保険法

平成20年成立の「保険法」が出来るまでは、商法に「保険に関する規定」がありました。

平成20年以降は商法から独立した「保険法」とし、保険契約者保護の観点などから内容も大幅に見直されています。

【優先順位】 保険法(特別法)> 商法(一般法)

商法3

労働安全衛生法も、昭和47年より前は労働基準法に「安全衛生の規定」があり、独立した法律になった事とよく似ています。


🔴商法は何条あるの?

・刑法は850条あります。他の主な法律(六法+α)と比較してみます。

商法4

※850条とありますが、32条~500条・507条・514条・517条~520条・522条・523条・565条~568条・716条~736条・771条~787条・813条・814条・831条~841条が「会社法」として独立したり、削除されたりしていますので、実質残っているのは318条となります。


🔴商法の中身

大きく分けて、「総則」・「商行為」・「海商」に分かれます。

🔵総則

商法5

🔵商行為

商法6

🔵海商

商法7

・商法は明治32年からの歴史ある法律ですので、海運業に関することが詳細に書かれています。

・日本で最初の総合的な社会保険である「船員保険」(昭和14年施行)も海運に従事する方を対象に作られています。また損害保険会社も、歴史のある会社は●●海上火災保険と海上での事故についての補償が主でした。


🔴日本と海外 商慣習の違い

商法第1条に「商法に定めがない事項については商慣習による」とあります。ただ日本と海外では商慣習が大きく違います。大きな違いを見ていきます。

YESかNOかはっきりさせる

海外では物事に対してはっきりと意見を言い、あいまいな回答を嫌います。

決定権者が商談に臨む

決定権のないものが商談に臨み「持ち帰って検討する」などという時間の浪費を好みません。その場で意思決定することがスタンダードです。

契約外のことはしない

日本では契約に記載のないサービスを顧客満足度の向上の為に無料で行うこともありますが、海外では契約外のことは追加料金が発生するのが通常です。

スペシャリストを求める

日本で重宝されるゼネラリストよりもスペシャリストが重宝される文化です。自社で出来ないことをスペシャリストに任せるという商慣習です。

出所:BizAppチャンネル「商習慣とは?日本と海外の違い


弊所は保険代理店を併設していますので、商法596条「場屋営業者の責任」、597条「高価品の特則」について興味が湧きました。

第596条 旅館、飲食店、浴場その他の客の来集を目的とする場屋における取引をすることを業とする者(以下この節において「場屋営業者」という。)は、客から寄託を受けた物品の滅失又は損傷については、不可抗力によるものであったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができない。
2 客が寄託していない物品であっても、場屋の中に携帯した物品が、場屋営業者が注意を怠ったことによって滅失し、又は損傷したときは、場屋営業者は、損害賠償の責任を負う。
3 客が場屋の中に携帯した物品につき責任を負わない旨を表示したときであっても、場屋営業者は、前二項の責任を免れることができない。
第597条 貨幣、有価証券その他の高価品については、客がその種類及び価額を通知してこれを場屋営業者に寄託した場合を除き、場屋営業者は、その滅失又は損傷によって生じた損害を賠償する責任を負わない。

 

「店内における盗難・紛失等については一切責任を負いません」というような表示をしている場合もありますが、このような表示をしたとしても、お店側に過失があれば商法596条3項により責任を免れることはできません。商法は、弁護士・司法書士の先生方がよく理解されている法律だと思いますが、商売をされている方であれば基本的な事をわかっている方が良いと思いました。

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