最近ニュースを見ていると殺人や強盗、詐欺など重大な犯罪をよく目にします。日本は法治国家ですが、法学部でない限りあまり法律に触れる機会がありません。憲法は学校で少し習った記憶がありますが、民法や商法、刑法など重要な法律についても小学校や中学校で勉強するべきだと感じています。今週は、法学部でもないので説得力はありませんが、ネットや書籍で調べて勉強した内容をお届けしたいと思います。本日は「刑法」を見ていきます。
🔴刑法とは
第1条 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
基本的に法律の第1条は、その法律の目的規定又は趣旨規定が置かれることが一般的です。
「目的規定」とは、その法律の制定目的を簡潔に表現したものです。
「趣旨規定」とは、法律の内容を要約したもので、制定の目的よりも、その法律で定める内容そのものの方に重点があるといえます。
出所:参議院法制局「目的規定と趣旨規定」
刑法には目的規定はなく、罪刑法定主義を原則としており、罪刑法定主義は、近代刑法の大原則とされています。日本国憲法31条「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」 刑法という法律の定める手続に則って刑罰を科すという立て付けになっています。
🔴刑法は何条あるの?
・刑法は264条あります。他の主な法律(六法+α)と比較してみます。
🔴刑法の構成
大きく分けて、「総則」と「罪」に分かれます。
🔵総則
🔵罪
出所:e-Gov 法令検索「刑法」
🔴刑法における主な罪名・条文・法定刑
出所:法務省「刑法における 主な罪名・法定刑及び事件区分」を参考に弊所で作成
🔴刑法の場所的効力
現行の刑法は属地主義(国内犯)を原則とし、属人主義(国民の国外犯)及び保護主義(すべての者の国外犯)により補充されている
属地主義
犯罪が日本国内で行われている限り、何人に対しても刑法の適用がある
属人主義
犯人が自国民である限り、犯罪地の内外を問わず刑法を適用する
保護主義
自国または自国民の法益を侵害する犯罪に対しては、犯人・犯罪地の如何を問わずすべての犯人について刑法を適用する
出所:厚生労働省「法律に基づく罰則規定の例」
※ほとんどの国が「属地主義」を採用しているので、海外で犯罪を犯してしまったら、その国の刑法が適用されます
🔴海外の刑法
🔵死刑の執行方法(主な国)
🔵海外では死刑の廃止する国が増えてきている
・すべての犯罪に関し廃止:112国
・通常犯罪のみ廃止:9か国
・事実上の廃止:23か国
・在置国数:55か国
出所:アムネスティ・インターナショナル「2023年の死刑判決と死刑執⾏」
🔵海外の罰金刑
・アメリカのハワイ州やニュージャージー州では歩きスマホ:約1万円の罰金
・イギリスでは電車やバスの乗り越し清算が出来ない:1万円~2万円の罰金
・シンガポールではゴミのポイ捨て:約1,000ドル(15万円)、チューイングガムの持ち込み・使用:約1万ドル(150万円)の罰金
大阪でも、平成19年4月に「大阪市路上喫煙の防止に関する条例」が施行され、現在6地区ある路上喫煙禁止地区において路上喫煙をした場合は、罰則として1,000円の過料を適用。市内全域での路上喫煙禁止に向け、令和6年3月に条例の一部を改正し、令和7年1月からは市内全域での路上喫煙に対して過料徴収を実施する予定とありますが、実際に罰則が適用されるのかは???ですし、罰則ももう少し重くした方が良いと感じます。
出所:大阪市「歩きタバコ・ポイ捨てに対する罰金制度の条例制定について」
前段でも書きましたが、日本は法治国家でありながら、法に対する知識や認識など大きく欠如している気がします。私も社労士という資格勉強で初めて法律に触れ、その重要性を学びました。本日は刑法について簡単に見てきましたが、皆様の学びのきっかけになれば幸いです。