日本の出生率が1.20で衝撃を受けましたが、お隣の韓国では0.72との報道で更に衝撃が走りました。この報道で日本はまだ韓国に比べて「まし」だという感覚に陥っては危ないです。出生率とは違うデータで生涯無子率というデータがあります。これは女性が生涯でこどもを出産する率です。1人でも出産すれば1、出産しなければ0という単純なデータになります。このデータで日本は28.3%で世界一です。
🔴合計特殊出生率とは
・女性が一生のうちに産む子どもの数。先進国は軒並み低いが、韓国・日本は突出して低い
🔵韓国の出生率が低い原因
・仕事かキャリアかを選ばないといけない(子供ができたら仕事を辞めることになるのが現状)
・労働時間の長さ(基本9:00-18:00で残業もあり)に加え、自己研鑽の時間が必要とされる(韓国では大学進学率が2022年で71.9%。先進国トップ)ので恋愛に時間を割けない
・ソウルの出生率は0.55まで落ち込んでいる。要因の一つに住居費用・生活費用の高さが挙げられる
・韓国の離婚率は52%・中国の離婚率は53%・日本は35%
・恋愛・結婚・出産を放棄する「三放世代」、就職もマイホームも夢も人間関係すらも放棄し、すべてを諦めるという意味の「N放世代」、中国では「寝そべり族」と若者の報われない状況に諦めムードが漂っている
🔴交際経験なしの20代 女性29.8%、男性46%
出典:(リクルートブライダル総研「恋愛・結婚調査2023」)
🔵若者の交際・結婚に対しての意見(一部抽出)
・「結婚を意識する相手としか付き合わない」と答える人が増加傾向で、特に女性は最新で約44%。
・「恋愛は時間とお金の無駄である」と答える人たちも増加傾向。特に30代女性
・「結婚したくない理由」としては、男性の1位が「金銭的に余裕がなくなるから」。女性の1位は「行動や生き方が制限されるから」
・楽しさより苦しさや傷つくことのほうが多かった、優先するのはまずは自分の生活
・奨学金の返済があり、遊興費に回すお金がない
・デートも割り勘が多いみたいだし、女性側からしてもデートするメリットがあまりない。
・生き方が束縛され、コスト・タイムのパフォーマンスが悪いから
・大人になってから楽しめる趣味も増えて来た
・親子関係が円満で、あまりにも居心地の良い実家から離れられず、親離れできない子供が増えている
・非正規雇用、低所得の若者が増えた
・以前はよくうちの息子・娘に誰か紹介してと言われたけど、最近はまったく言われない
・気の乗らない飲み会や恋愛あたりは無駄遣いの筆頭
・「男女が協力して幸せになる」というより、「個人を大事にすること」が大事だという考えになってきている。
・女性に経済力がついてきて人生の選択として 結婚は必須ではなくなった
・『カネ、顔、肩書』などがないと成立してこない場合が多すぎる
・昔と違って現代は色んな娯楽があるし、同じ趣味を分かち合う仲間は異性よりも同性の方が気楽でやりやすい
・タイパコスパとかいろいろ理由つけてはいるけど、容姿が良くてお金もあって異性にモテる人はみんなちゃんと恋愛してる
・女性に関していえば今の時代奥さんを養える人は少なく、妻も働きにでないと生活できない。プラス育児、家事なんて考えたら1人の方がマシかもと思う。
・これだけ安く1人で楽しめるコンテンツが多い世の中で、わざわざコスパとタイパが悪い恋愛は選ばない
・自分は、休日や平日リモートワークで数日間誰とも話さなくても全く平気な体質なので、恋愛も結婚も必要性を全く感じない
・昔から恋愛強者3割の法則があってバブルの頃もそうだった。恋愛弱者はお見合いで結婚できてただけで、今も昔も本質は変わらない
・昔は結婚したくない人も無理矢理しないと人権が無いような社会だった。今はしたい人だけがしてるのだから良いことだと思う。昔が異常だっただけ
・相手や子供に責任を持てない、だから結婚しない
・結婚ならまだしも、子供作ったらお金と時間にめちゃくちゃ制限がかかるので、それらを失いたくない人は多い
・職場で女性に声かけたら人事に呼ばれてる人をみたことある
・夫が金を稼ぎ、妻が家事をする。これが歴史と実績のある役割分担だと思う
・女性は、上位1割2割程度の男性しか恋愛対象として見ていない
🔴世界との比較(G7+アジア)
データで見ると、韓国は出生率は低いものの、生涯無子率は高くなく、8人に1人が出産しない状態。中国は一人っ子政策の影響が色濃く出ており、日本は約3人に1人が出産しない状態です。フランスでは事実婚(パートナー婚)が主流で、出生に占める非嫡出子の割合が61.0%とのデータがあります。参照「日本の出生率・離婚率」
🔴生涯未婚率
2~30年ほど前では、結婚して1人前のような考え方が主流で、結婚していないと周りからお見合いを勧められるような風潮がありましたが、現在では「おひとりさま」という言葉があるように、結婚に捉われないライフスタイルが増え、生涯未婚率も男性30%・女性20%程度になってきています。今後更に未婚化が進む可能性が高く、社会保障制度の設計自体を変更する必要性も出てきます。
🔴終わりに
韓国の例(数々の少子化対策を打つも効果が出ず)を見ても、若者の結婚への捉え方・考え方が劇的に変化しない限り、未婚化・出生率の低下・生涯無子率の上昇は避けられないのが実情です。目先の補助も大切ですが、将来に期待が持てるビジョンを示し、仕事と社会生活が両立できる社会にしていくことが今後の対策として大切だと感じます。