以前の記事「最低賃金、過去最大の上げ幅を軸に調整中」でご案内した通り、過去最大の上げ幅(全国加重平均:41円→50円)となりました。大阪は10/1(火)から新しい最低賃金が適用されますのでご注意ください。最低賃金の概要は以前の記事でご紹介しておりますのでご参考頂ければと思います。今回は実務的なQ&Aと、厚生労働省の施策、大阪府の「賃金引上げに向けた支援策一覧」などを見ていきたいと思います。
🔴最低賃金の対象となる賃金
【日給の場合】
【月給の場合】
※大阪府 地域別最低賃金の場合
🔴Q&A
Q1:パートタイマーでも最低賃金は適用されますか?
A: 最低賃金は、事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。常時、臨時、パートタイマー、アルバイト、嘱託等の雇用形態には関係ありません。ただし一部、最低賃金の減額の特例が認められる場合もあります。
Q2:調べたら自分の時間給が最低賃金を下回っていました。どのように対処すればよいですか?
A: 最低賃金を下回る場合、法律上最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされますので、最低賃金額に満たない不足分を請求することができます。まずは最低賃金を下回っている旨を使用者と話してみることをお勧めします。
Q3: 残業や休日に働いた手当を含めて比較すると、最低賃金額以上になるのは問題ないですか?
A: 最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金に限られます。残業代や休日手当は含めずに計算する必要があります。
Q4: 出来高払制で賃金をもらっています。最低賃金と比較したいのですが、どのように計算すればいいですか?
A: 出来高払制によって得た賃金については、当該賃金算定期間において出来高払制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制によって労働した総労働時間数で除した金額が時間当たりの換算額となります。たとえば、出来高払制で総労働時間40時間で30,000円の賃金となった場合は、30,000÷40=時間給換算750円となります。
Q5: 試用期間中で働いていますが、その時間給が最低賃金以下です。使用者に相談できますか?
A: 最低賃金は、事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。常時、臨時、パートタイマー、アルバイト、嘱託等の雇用形態には関係ありません。ただし一部、最低賃金の減額の特例が認められる場合もあります。
Q6: 派遣労働者として働いています。派遣元と派遣先の会社が別の県にありますが、最低賃金はどちらが適用されますか?
A: 派遣労働者については、派遣元の事業場の所在地にかかわらず、派遣先の事業場の最低賃金が適用されます。派遣先の事業場がある都道府県の最低賃金を確認してください。
Q7: 支払う賃金は、通勤手当も含めて最低賃金以上になっていれば大丈夫ですか?
A: 最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。通勤手当は最低賃金の対象となる賃金には含まれません。他にも、結婚手当等の臨時に支払われる賃金、賞与、時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金、通勤手当、家族手当、精皆勤手当は最低賃金の対象となりませんので、除外して計算する必要があります。
Q8: 私の会社では最低賃金額で労働者と契約しているのですが、最低賃金額が改定された場合、現在のままでは最低賃金額を下回ってしまいます。最低賃金額が改定される発効日が賃金算定期間の途中にある場合、賃金は来月から引き上げてもいいですか?
A: 賃金算定期間の途中に発効日がある場合であっても、発効日以降は改定後の最低賃金額以上の賃金を支払う必要がありますので、ご注意ください。
Q9: 最低賃金が改正され発効されたことに気付かず、3箇月経ってしまいました。最低賃金より少なく払っていた場合はどうしたらいいですか?
A: 使用者は、最低賃金額以上の金額を労働者に支払わなければなりません。もしも、その間支払っていた賃金が最低賃金額未満であった場合、その差額を速やかに支払わなければなりません。支払わない場合は最低賃金法違反として罰則(50万円以下の罰金)が定められています。
Q10: 家業で妻と息子と一緒に仕事をしています。この場合も、最低賃金は適用されるのですか?
A: 同居の親族のみを使用する事業者または事務所に使用される者および家事使用人は、「労働者」に該当しません。すなわち最低賃金は適用外となります。しかし、労働者として雇用している場合は、最低賃金が適用されますので、ご注意ください。
出所:厚生労働省「労働者と最低賃金制度」
🔴賃金引上げに向けた支援策一覧【大阪】
🔵生産性向上に関する支援
🔵下請取引の改善・新たな取引先の開拓に関する支援
🔵資金繰りに関する支援
・制度融資
🔵雇用(人材育成)に関する支援
・在職者を対象とした職業訓練(テクノ講座)
🔵相談窓口・各種ガイドライン
🔵参考情報
🔴賃金引き上げに向けた取組事例(製造業)
・TOWA株式会社 従業員数:597名
・有限会社真生包装 従業員数:35名
・日本特殊陶業株式会社 従業員数:3,534名
・今間メリヤス株式会社 従業員数:18名
・株式会社モハラテクニカ 従業員数:38名
・河村電器産業株式会社 従業員数:1,917名
・株式会社アサダヤコーポレーション 従業員数:40名
・市村蒲鉾有限会社 従業員数:50名
・株式会社ポトペリー 従業員数:13名
・旭酒造株式会社 従業員数:240名
・岡谷熱処理工業株式会社 従業員数:34名
厚生労働省、労働局をはじめ、公的な機関のサイトを見ることは少ないと思いますが、良いツールや解りやすい事例など有益な情報がたくさんあります。無料ですので是非ご活用頂ければと思います。