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戸籍について 制度の概略と海外との比較

選択的夫婦別姓制度の議論でたびたび出てくる、戸籍制度をどうするのかという問題。先日、小学生の娘に戸籍制度のことを聞かれ、自分自身がほとんど戸籍のことについて知らないことに改めて気づかされました。議論云々の前に、まずは制度についての概要や海外との違いなどについて見ていきたいと思います。


🔴戸籍制度の由来

我が国最初の戸籍は諸説あるのですが、

①紀元575年に崇神天皇が人民を管理掌握するために設けたとする説

②紀元670年、天智天皇が班田収受のため律令制により「庚午年籍」を全国的に実施した説

上記の2つの説が有力とされています


🔴戸籍制度の変遷

出所:家系図の森「戸籍制度の由来


🔴戸籍とは

日本人が出生してから死亡するまでの身分関係(出生、結婚、死亡、親族関係など)について、登録証明するためのものであり、原則として1組の夫婦およびその夫婦と同じ氏の未婚の子を単位として作られています。戸籍は戸籍法に基づく「届出」により記録され、本籍地の市区町村役場に保管されていますので、戸籍謄抄本が必要な場合は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。※令和6年3月1日以降、本籍地ではない市区町村で戸籍の届出を行う場合でも、届出先の市区町村にて本籍地の戸籍を確認することが可能になります

🔵本籍と筆頭者

戸籍は、「本籍」と「筆頭者氏名」で表示されます。

【本籍とは】

・戸籍の所在場所のことです。その戸籍ができた時点での実際の地番または住居表示の街区番号まで(○丁目○番まで。○号の表示はありません)で表示します。

・本籍と住所は一致している場合もありますが、全く別のものです。居住している証明が必要な場合は、住民票での確認となります。

【筆頭者とは】

・戸籍の1番最初に記載してある人のことです。筆頭者は死亡しても変わりません

・婚姻の際に、夫の氏を名乗ることとした場合は夫が、妻の氏を名乗ることとした場合は妻が戸籍の筆頭者となります

🔵戸籍謄本と戸籍抄本

【戸籍謄本】

戸籍簿に記録されている「全員」について証明したものです。現在のコンピュータ化後の戸籍では「戸籍全部事項証明」といいます。

【戸籍抄本】

戸籍に記録されている「一部の人」について証明したものです。現在のコンピュータ化後の戸籍では「戸籍個人事項証明」といいます。

出所:関市「戸籍とは?戸籍謄本と戸籍抄本はどう違うのですか?


🔴住民票と戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)の違い

出所:名古屋市名東区「住民票と戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)との違いは何ですか?


🔴戸籍全部事項証明書のサンプル

出所:仙台市「戸籍全部事項証明書見本」を参考に作成


🔴三代戸籍禁止の原則

戸籍は夫婦ごとに編製されています。夫婦一組と父母と氏を同じくする子(養子含む))がひとつの戸籍に記載されています。筆頭者及びその配偶者から見て三代目にあたる子の子(子の養子を含む)については、同じ戸籍に入ることはできません。子にあたる方が婚姻をすることなく子(つまり筆頭者及びその配偶者から見て子の子)を出生した場合は、子を筆頭者とした新たな戸籍を編製し、子の子はその新しい戸籍に入籍することになります。

Q外国人が日本の戸籍をつくることがあるの?

A外国人の方については日本で戸籍を編製することはありません。ただし、当事者の一方が日本人である身分行為を行った場合は、その一方の日本人の方の戸籍にその届出について記載されます。代表的な例としては婚姻になります。当事者がすべて外国人の方の場合(外国人夫婦の出生届など)は、戸籍の記載はされることがなく、当該届書が提出された役場に保管されることになります。

出所:千葉市「戸籍に関する全般的な説明


🔴日本以外で戸籍制度がある国と主な違い

※その他の国々は、韓国のような個人単位の登録制度が一般的。

Q戸籍制度がない場合の問題点は?

A多くの国が採用している個人単位の登録になれば、『出生証明書』には両親の氏名が載り、『婚姻証明書』には配偶者の氏名が載り、『死亡証明書』には死亡した年月日が載ります。それぞれバラバラに政府から発行されます。多くの国ではそれぞれバラバラに証明書をとって、内容を突き合わせて家族関係を確認して証明なければなりません。そのため家族関係の証明が難しくなります。

出所:弁護士絹川恭久氏HP「他国と比較して分かる日本の戸籍のすばらしさ(便利さ)


戸籍制度はこの他にも、無戸籍の方の問題などもありますが、今回はここまでとさせて頂きます。明日はこの流れで、選択式夫婦別姓制度・マイナンバーについて見ていきます。

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