昭和29年の改正前は厚生年金が55歳から支給されていたというのを知っておられる方は少ないと思います。現在は65歳から支給というのが一般的で、近い将来70歳に延長されることも十分予想されます。もちろん昔と現在では平均寿命も違うので一概には言えませんが、平均寿命の延びが予想以上のために年金制度が逼迫しているのは事実です。今回は、年金の受給年齢の推移と受給期間を見ていきたいと思います。
🔴厚生年金の受給年齢の推移
※昭和36年4月2日以降生まれの「男子」、昭和41年4月2日以降生まれの「女子」は、定額部分・報酬比例部分どちらも65歳から
※国民年金については、制度発足当初(昭和36年4月)より65歳から
※実際はもっと複雑な部分(特例など)がありますが、解りやすく一般的な例で表示しています
出所:厚生労働省「支給開始年齢について」
🔴平均寿命の推移
戦後の昭和25年頃から比べても、平均寿命が20歳以上も上昇していることが解ります
🔴平均寿命と年金受給期間の推移
男子
女子
出所:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
🔴他国の年金受給年齢と平均寿命
出所:日本年金機構「主要各国の年金制度の概要」
出所:厚生労働省「平均寿命の国際比較」
今回は厚生年金保険の受給年齢の推移と受給期間を中心に見てきました。制度発足当初は平均寿命も短く、制度運営も問題なかったのですが、平均寿命が伸びたことで支払いが多くなり制度が逼迫していると思われます。欧米各国は受給開始年齢を67歳に順次延長しており、日本も近い将来に67歳~70歳に変更になると予想できます。ただこのまま平均寿命が伸び続けた場合には、年金制度自体を見直すことも考えていかなければなりません。