南海トラフ地震が近い将来起こるのではないかとの予測があります。これはこのプレートの地震が定期的に起こるためにその周期が近づいていることからに他なりません。リスクマネジメントの手法には、低減・回避・保有・転嫁の手法があり、家具等の固定や耐震化などの「低減」、地震が起こらない地域への移転等よる「回避」、大きな被害が起こっても自己資金で賄う「保有」、そして地震の被害を保険金で賄う「転嫁」、(またはいくつかを組み合わせる手法)が考えられます。今回はリスクの転嫁である地震保険制度について見ていきたいと思います。
🔴近年の東海・南海地震
🔵近年での大きな地震
※マグニチュードは1大きくなる約32倍大きくなり、2大きくなると、約1000倍になります。
出所:気象庁「震度とマグニチュード」
弊所記事「大地震に備えて データで見る近年と過去の大震災」もご参照ください
🔴地震保険制度の概要
「地震保険」は、昭和39年(1964年)に発生した「新潟地震」を機に、地震による被災者の生活安定に寄与することを目的として、昭和41年(1966年)に創設されました。
それまでも災害を補償する保険としては「火災保険」がありましたが、火災保険では、地震や噴火、津波による火災や損壊などは対象となっていませんでした。大地震が発生したときには多額の保険金の支払いが発生するため、民間の損害保険会社だけでそれを引き受けることは困難なためです。そこで、民間の損害保険会社の負担を超えるリスクを、再保険によって政府が分担して引き受ける「官民共同の保険」として、地震保険制度がつくられたのです。
1回の地震等により政府と民間保険会社が負担する保険金の「総支払限度額」は、現在、「12兆円」となっています。この金額は、制度創設以来、関東大震災級の地震が発生した場合でも地震保険金の支払いに対応できるように設定されています。
🔴民間保険会社と政府再保険会社による支払い保険金トップ10
民間保険会社
出所:日本損害保険協会「過去の大きな地震による地震保険金一覧(支払額順)」
政府再保険
出所:日本地震再保険株式会社「地震再保険金支払状況」
🔴地震保険の各種基準
地震保険の対象
※自動車や1個又は1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石などは含まれません
保険金
🔴損壊の基準
建物
家財
保険金をお支払いできない主な場合
・故意もしくは重大な過失または法令違反による損害
・地震などの発生日の翌日から起算して10日経過後に生じた損害
・戦争、内乱などによる損害
・地震等の際の紛失・盗難の場合
🔴保険料率(令和4年10月1日以降保険始期)
保険金額:1,000万円・保険期間:1年(単位:円)、関西に限定して表示
🔵保険料率が高い・安い都道府県TOP5 イ構造順
※安い都道府県は同率で、青森・岩手・秋田・山形・栃木・群馬・新潟・富山・石川・福井・長野・岐阜・鳥取・島根・岡山・広島・山口・福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・鹿児島となります。
🔵長期契約の保険料(割引)
🔵割引制度
出所:財務省「地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)」
出所:財務省「地震保険制度の概要」
🔴リスクマップ
東京海上日動火災保険㈱が提供するリスクマップ(無料版)で弊所(東大阪市山手町)の地震リスクを診断してみました。
著作権の関係でお見せできませんが、比較的低い値が出て安心です。
弊所代表の自宅(大阪市東成区)はどうでしょうか?
こちらも著作権の関係でお見せできませんが、恐ろしいほどにリスクが高いことがわかりました。
登録もなく無料で利用できますので、皆様もぜひ一度ご覧になって下さい。
出所:東京海上日動株式会社「かんたんリスクマップ」
今回は地震保険の基本知識を見てきました。安政や昭和の時代と違い、現在は耐震基準もしっかりした建物が増え、被害もそこまで大きくならないのではという声も聞かれます。ただ自然災害に関しては想定を超える規模の災害も起こり得ると予測して、クライシスマネジメントを考えることも重要になってきます。後で後悔しないためにも考える機会を作って頂けたら幸いです。