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労務相談 Q&A事例集 労働局、弊所事例・業務フロー

弊所が労務相談を受けた際に回答の基準となるのは、過去にあった同じような相談内容での解決事例になることが多いです。また弊所での事例がなくても過去の判例や事例についての情報をもとに推測することもあります。もちろん弁護士ではありませんので、法律事務を取り扱ったり、代理人になったりすることはできません(弊所参考記事「非弁行為・非弁提携ってどんなこと?」)が、会社側とすれば一定の方向性を示してほしいという要望はあります。その際に労働局に寄せられた相談内容のなかにピッタリな回答がある場合もあり、非常に有益だと感じますので今回それをまとめてみようと思います。※労働問題は個別具体的なことが多く、一概には言えませんがご参考になれば幸いです。


🔴労働局とは

労働局は、「働く」ということに関連する様々な行政分野を、総合的・一元的に運営しながら、地域に密着した行政を担う厚生労働省の地方機関です。仕事を探している方、働いている方、事業を行っている方などと広く接し、「様々な相談に対応したり、課題の解決」に取り組んでいます。また、労働局は、働く方を直接支援する第一線機関を有しており、職業安定・人材開発行政の第一線機関である「ハローワーク」、労働基準行政の第一線機関である「労働基準監督署」、雇用環境・均等行政の第一線機関として労働局内に「雇用環境・均等部(室)」があります。

出典:厚生労働省・労働局「職員採用案内2025

  • 全国各労働局のホームページ

1.北海道 https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/

2.青森 https://jsite.mhlw.go.jp/aomori-roudoukyoku/

3.岩手 https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/

4.宮城 https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/

5.秋田 https://jsite.mhlw.go.jp/akita-roudoukyoku/

6.山形 https://jsite.mhlw.go.jp/yamagata-roudoukyoku/

7.福島 https://jsite.mhlw.go.jp/fukushima-roudoukyoku/

8.茨城 https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/

9.栃木 https://jsite.mhlw.go.jp/tochigi-roudoukyoku/

10.群馬 https://jsite.mhlw.go.jp/gunma-roudoukyoku/

11.埼玉 https://jsite.mhlw.go.jp/saitama-roudoukyoku/

12.千葉 https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/

13.東京 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/

14.神奈川 https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/

15.新潟 https://jsite.mhlw.go.jp/niigata-roudoukyoku/

16.富山 https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/

17.石川 https://jsite.mhlw.go.jp/ishikawa-roudoukyoku/

18.福井 https://jsite.mhlw.go.jp/fukui-roudoukyoku/

19.山梨 https://jsite.mhlw.go.jp/yamanashi-roudoukyoku/

20.長野 https://jsite.mhlw.go.jp/nagano-roudoukyoku/

21.岐阜 https://jsite.mhlw.go.jp/gifu-roudoukyoku/

22.静岡 https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/

23.愛知 https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/

24.三重 https://jsite.mhlw.go.jp/mie-roudoukyoku/

25.滋賀 https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/

26.京都 https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/

27.大阪 https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/

28.兵庫 https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/

29.奈良 https://jsite.mhlw.go.jp/nara-roudoukyoku/

30.和歌山 https://jsite.mhlw.go.jp/wakayama-roudoukyoku/

31.鳥取 https://jsite.mhlw.go.jp/tottori-roudoukyoku/

32.島根 https://jsite.mhlw.go.jp/shimane-roudoukyoku/

33.岡山 https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/

34.広島 https://jsite.mhlw.go.jp/hiroshima-roudoukyoku/

35.山口 https://jsite.mhlw.go.jp/yamaguchi-roudoukyoku/

36.徳島 https://jsite.mhlw.go.jp/tokushima-roudoukyoku/

37.香川 https://jsite.mhlw.go.jp/kagawa-roudoukyoku/

38.愛媛 https://jsite.mhlw.go.jp/ehime-roudoukyoku/

39.高知 https://jsite.mhlw.go.jp/kochi-roudoukyoku/

40.福岡 https://jsite.mhlw.go.jp/fukuoka-roudoukyoku/

41.佐賀 https://jsite.mhlw.go.jp/saga-roudoukyoku/

42.長崎 https://jsite.mhlw.go.jp/nagasaki-roudoukyoku/

43.熊本 https://jsite.mhlw.go.jp/kumamoto-roudoukyoku/

44.大分 https://jsite.mhlw.go.jp/oita-roudoukyoku/

45.宮崎 https://jsite.mhlw.go.jp/miyazaki-roudoukyoku/

46.鹿児島 https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/

47.沖縄 https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/

※47都道府県すべてにあります。

出典:厚生労働省「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧


🔴労務相談Q&A(解雇・雇止め・退職、労働時間)

今回は全ての労務相談についての記載は膨大な量になりますので、特に相談が多い労働時間と解雇(退職・雇止めを含む)についてのQ&Aをご紹介したいと思います。

【退職・解雇・雇止め】

Q:私は、正社員として10年勤務していますが、このたび家庭の事情で会社を辞めたいと思い退職願を提出しましたが、上司が受け取ってくれません。 会社が同意してくれないと私は退職できないのでしょうか?

A:民法では期間の定めのない雇用契約については、いつでも解約の申入れをすることができるとされており、解約の申入れの日から、2週間で終了することとなっていますので、会社の同意がなければ退職できないというものではありません(民法第627条)。なお、会社の就業規則に退職について規定されている場合は、原則として就業規則の規定が適用されますので一度確認してみてください(就業規則で極端に長い退職申入れ期間を定めている場合などは、労働者の退職の自由が極度に制限され、公序良俗の見地から無効とされる場合もあります。)。

Q:1年間の労働契約を結んでいますが、今回一身上の都合で、契約期間の半ばながらも退職したいと思っています。 会社からは引き留められていますが、どうしても勤めるわけにはいきません。 会社の了承無く辞めようと思っていますが、問題はないでしょうか

A:雇用契約期間の定めがある場合は、原則として、使用者は契約期間の満了前には労働者を辞めさせることが出来ない反面、労働者も契約期間中は会社を辞めることができません。民法第628条によると、雇用の期間を定めたときといえども、やむを得ない事由がある場合は、各当事者は直ちに契約を解除することができることとされています。しかし、その事由が当事者の一方的過失によるときは、相手方に対して損害賠償に応じなければならないと定められています。したがって、契約期間の途中で契約を打ち切ることによって、使用者が被った損害については、賠償を請求されることもあり得ます。

Q:労働者を解雇する場合の手続について教えて下さい。

A:労働基準法第20条の手続が適正であるからと言って、解雇が正当であるとは限りません。以下1.~8.に該当する場合、解雇は禁止されています。

1.業務上の傷病による休業期間及びその後30日間(労働基準法第19条)

2.産前産後の休業期間及びその後30日間(労働基準法第19条)

3.国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労働基準法第3条)

4.労働者が労働基準監督署へ申告をしたことを理由とする解雇(労働基準法第104条)

5.労働組合の組合員であること、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇(労働組合法第7条)

6.女性であること、あるいは女性が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後の休業をしたことを理由とする解雇(男女雇用機会均等法第8条)

7.育児休業の申出をしたこと、又は育児休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条)

8.介護休業の申出をしたこと、又は介護休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第16条)

以上のような労働基準法等で禁止されている条項に該当しない場合も、解雇を自由に行い得るというわけではありません。最終的には裁判所で判断する事になりますが、解雇が無効とされた次のような裁判例がありますので、参考にして下さい。

「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解されるのが相当である。」

(最高裁第二小法廷昭和43年(オ)第499号昭和50年4月25日判決)

Q:会社の経営が非常に苦しく、これ以上雇用を維持するのは困難だと思い、労働者を解雇することにしました。経営が苦しければ、解雇は許されるのでしょうか?

A:ご質問のような整理解雇をする場合には、裁判例にて以下のような4要件が必要とされています。

1.人員削減の必要性(特定の事業部門の閉鎖の必要性)

2.人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(配置転換などをする余地がないのか)

3.解雇対象者の選定の妥当性(選定基準が客観的、合理的であること)

4.解雇手続の妥当性(労使の協議など)

(東京高裁昭和51年(ネ)第1028号昭和54年10月29日判決等)

Q:会社で総務を担当していますが、このたび労働者を就業規則の規定に基づき懲戒解雇にしようと思っています。 解雇予告は必要でしょうか?

A:会社の規則で定める懲戒解雇の事由に該当したとしても労働基準法に規定する解雇予告又は解雇予告手当の支払は必要となります。ただし、その懲戒解雇の事由が事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為など労働者の責に帰すべき事由であった場合は、解雇予告又は解雇予告手当の支払は不要です。なお、この場合は、労働基準監督署長の認定を受ける必要があります。(労働基準法第20条)

Q:1年契約のパートタイム労働者を契約更新しながら雇用していますが、このような労働者に対して契約更新をしなかった場合、解雇の手続は必要ですか?

A:期間の定めのある労働契約の反復更新によって実質上期間の定めのない労働関係になったと認められる場合には、労働基準法第20条(解雇の予告)が適用されます。しかしながら、同条が適用されない場合においても、事業主の更新拒絶により労働契約が突然終了することによって被る労働者の不利益を緩和することが望まし いことから、事業主は、1年を超えて引き続き労働者を使用するに至った場合は、当該労働契約を更新することなく期間の満了により終了させるときに、少なく とも30日前に予告を行うように努めて下さい。

Q:社内貯蓄及び私物のパソコンを残したまま、労働者が突然退職しました。 寮の部屋代の精算が済んでいないため、精算が済むまでこれらを返還しないでおこうと考えていますが、問題がありますか?

A:労働基準法第23条には、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないと規定されています。よって、労働者の社内貯蓄および同人のパソコンは、請求があれば7日以内に本人に返還する必要があります。(労働基準法第23条)

Q:資金繰りが厳しく手形の不渡りを発生させないために、取引先などへの支払を優先し、賃金の支払を待ってもらおうと考えていますが、問題ないですか。

A:賃金は一般の債権に優先される先取特権がありますので、賃金の支払の方を優先させなければなりません。

Q:私はある会社のパートタイマーとして20年勤務し、先日退職しました。 退職金の請求はできるでしょうか。

A:退職金については、法律上支払が義務付けされているものではなく、会社に退職金制度がある場合についてそれに従った支払が強制されているものです。したがって、肝心なことは会社に退職金制度があるのかないのか、そこを確認することです。制度があるにもかかわらず、それに従った支払をしないということであれば、労働基準法に抵触することになります。(労働基準法第24条)

Q:当社には、退職金規程がありますが昨今の景気の状況から、退職者に規程に基づく退職金の支払は困難となっています。 それでも、やはり全額支払わなければなりませんか。

A:退職金規程に基づき、所定支払日に全額支払う必要があります。(労働基準法第24条)

Q:会社の経営が苦しいとのことで、賃金を引き下げると社長から言われました。 私としては納得がいかないのですが。

A:判例によれば、使用者が恣意的に労働者に不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として許されるものではありませんが、就業規則の変更によるものについては、当該規則の条項が合理的なものである限り、個々の労働者の同意までは要しないとされています。

この場合、合理的なものかどうかは、

1.就業規則変更によって労働者が被る不利益の程度

2.使用者側の変更の必要性の内容・程度

3.変更後の就業規則の内容の相当性

4.代替措置その他関連する他の労働条件の改善状況

5.従業員との交渉の経緯

6.同種事項に関する社会的一般的状況

上記を総合勘案し判断すべきであるとされています。また、使用者から予めまったく何の説明もなく、賃金支払日に一方的に賃金を差し引くことは、労働基準法第24条に抵触する可能性もあります。

Q:社長から突然賞与を減額すると言われました。 問題は無いのでしょうか?

A:「賞与」が、就業規則等により、予め支給時期、支給金額を定められているものであれば、賞与減額は労働条件の変更になり、原則として、個々の労働者の同意が無ければ、労働条件の変更は有効とされません。ただし、労働者の同意を得ていないものの、就業規則の変更により労働条件の変更を行う際に、その変更条項が合理的である場合は、その適用を拒否することはできないとした判例があります。なお、会社の業績により賞与支給金額を決定する、支給計算期間中の勤怠や業績評価等の査定等を経て賞与支給額を決定するなど就業規則等に定められている場合もあり、適正な査定等による減額であれば、問題はないと思われます。


【労働時間】

Q:現在の法定労働時間は何時間ですか?

A:原則として休憩時間を除いて1日8時間、1週40時間以下となっております。(労働基準法第32条)ただし、労働者数10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業及び接客娯楽業は一週44時間以下となっております。(労働基準法第40条)

Q:現在、労働時間の見直しを考えている会社経営者ですが、1日の所定労働時間を 8時間20分とすることはできますか?

A:変形労働時間制を採用すれば可能です。変形労働時間制には、

1.1箇月単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の2)

2.1年単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の4)

3.1週間単位の非定型的変形労働時間制

があります。(労働基準法第32条の5)変形労働時間制とは、簡単に説明しますと、勤務日・勤務時間を特定すること等によって変形期間を通じ平均して1週の労働時間を法定労働時間以下にする制度です。

Q:会社としては労働者に対して休日は最低何日与える必要がありますか。

A:毎週少なくとも1回、または4週間で4日以上与えることが必要です。(労働基準法第35条)

Q:会社として労働者に対して休憩時間は最低何分与えることが必要ですか?

A:労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、労働時間が8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与えることが必要です。(労働基準法第34条)

Q:1ヶ月単位の変形労働時間制を採用するには、労使協定が必要ですか?

A:1ヶ月単位の変形労働時間制を採用するには、

1.就業規則

2.就業規則に準じるもの(規模10人未満の事業場に限る)

3.労使協定

のいずれかの定めが必要です。いずれの場合にも、

1.変形期間と各変形期間の起算日

2.対象となる労働者の範囲

3.変形期間中の各日、各週の所定労働時間

を定める必要があり、労働者への周知も義務づけられています。また、労使協定の場合、有効期間の定めが必要です。そして、労使協定は、様式第3号の2に記載して所轄労働基準監督署長に届出する必要があります。なお、規模10人以上の事業場であれば、労働時間に関する事項に変更があった場合は、就業規則変更届が必要となることにも注意してください。

Q:1年単位の変形労働時間制で、業務の繁忙期に長めの所定労働時間を組みたいのですが、注意すべき点を教えてください。

A:1年単位の変形労働時間制における所定労働時間には、原則として1日10時間、1週52時間という限度時間が定められています。ただし、対象期間が3箇月を超える場合は、次の要件を満たす必要があります。

1.週48時間を超える所定労働時間を設定した週は連続3週以内であること。

2.対象期間を起算日から3箇月毎に区切った各期間に、週48時間を超える所定労働時間を設定した週の初日の数が3以内であること。

Q:1年単位の変形労働時間制による労働日数の限度は何日ですか。また最大何日まで連続して労働させても良いのですか?

A:対象期間内の労働日数の限度は、原則として1年当たり280日です。また、対象期間に連続して労働させることができる日数は6日間で、労使協定で定めた特定期間においては1週間に1日の休日が確保できる日数となっています。

Q:1年単位の変形労働時間制でも休日の振替を行うことはできますか?

A:通常の業務の繁閑等を理由として休日振替が通常行われるような場合は、1年単位の変形労働時間制を採用できません。労働日の特定時に予期しない事情が生じ、やむを得ず休日の振替を行う場合には、

1.就業規則で休日の振替がある旨規定を設け、あらかじめ休日を振り替えるべき日を特定して振り替えること

2.対象期間(特定期間を除く)において、連続労働日数が6日以内となること

3.特定期間においては、1週間に1日の休日が確保できる範囲内にあること

が必要です。また、例えば、同一週内で休日をあらかじめ8時間を超えて労働を行わせることとして特定していた日と振り替えた場合については、当初の休日は労働日として特定されていなかったものであり、労働基準法第32条の4第1項に照らし、当該日に8時間を超える労働を行わせることとなった場合には、その超える時間については時間外労働とすることが必要です。

Q:フレックスタイム制の対象者の範囲に制限はありますか?

A:協定に際して、対象となる労働者の範囲が明確に定められていれば、特に問題ありませんが、18才未満の年少者については適用できません。対象労働者の範囲は、各事業場で任意に決定することが可能です。

Q:フレックスタイム制で働く者のフレキシブルタイム中に労働時間を指定して出張させたり、会議に出席させたりすることはできますか?

A:フレックスタイム制は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業・終業時刻をその労働者の決定に委ねることを規定することにより、労働者が各日の始業・終業時刻を自由に選択して勤務することができる制度です。したがって、使用者は、労使協定で定めたコアタイムを除き、労働者の各日の具体的な勤務時間を指定することはできません。ご質問の場合は、労働者の同意を得て労働者の自発的意思により勤務してもらうことしかありません。

Q:一般に時間外労働といいますが、労働基準法ではどのような場合を言うのですか?

A:労働基準法では、労働時間は原則1日8時間、1週40時間までと定められています。この法定労働時間を超えて労働をさせた場合が、労働基準法の(法定)時間外労働です。これが割増賃金の対象になります。

Q:労働者に時間外労働や休日労働をさせる場合は、どのような手続が必要となりますか?

A:時間外労働や休日労働をさせるには、書面により労使協定を締結し、それを事業場を管轄する労働基準監督署へ届け出なければなりません。

労使協定をしなくてはならない事項は、次に掲げる項目です。

1.時間外労働や休日労働させる必要のある具体的事由

2.業務の種類

3.労働者の数

4.1日及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間又は労働させることができる休日

5.協定の有効期間

(労働基準法第36条)

Q:残業についてきっちり時間外手当を支払っているので、何時間残業を行わせて構いませんか。

A:時間外労働や休日労働を従業員に行わせる場合には、時間外労働・休日労働に関する協定届を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。この協定の範囲内で行わせる必要があります。また、協定は時間外労働の限度に関する基準に適合していなければなりません。

Q:労働者に時間外労働や休日労働をさせた場合、いくらの割増賃金を支払わなければなりませんか?

A:時間外労働の場合は通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を、休日労働の場合は通常の労働時間の賃金の計算額の3割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。(労働基準法第37条)

Q:労働者に深夜勤務をさせた場合、割増賃金を支払う必要はありますか?

A:原則午後10時から午前5時までの間に労働させた場合は、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。(労働基準法第37条)

Q:会社で経理を担当していますが、割増賃金の基礎となる賃金に皆勤手当を算入しなければならないのですか?

A:算入しなければなりません。算入しなくてもよい賃金は、

1.家族手当

2.通勤手当

3.別居手当

4.子女教育手当

5.住宅手当

6.臨時に支払われた賃金

7.一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

(労働基準法第37条)ただし、独身でも家族手当が支払われるなど一律に必ず支払われる賃金については、上記の名称であっても算入しなければなりません。

Q:月給制で働いていますが、割増賃金の計算方法を教えてください。

A:月によって定められた賃金については、その金額を月の所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1ヶ月平均所定労働時間数)で除した金額に割増賃金の対象となる労働時間数を乗じて得た額に割増率を掛けます。

Q:係長などの役職者には、役職手当を支払えば時間外手当は支払わなくてもよいですか。

A:役職手当の性格等の詳細が不明ですので明確な回答はできませんが、一般的に係長は出勤・退勤が自由な管理・監督者ではないため、時間外手当の支給が必要と思われます。(労働基準法第37条)

Q:昨日2時間の残業をさせた従業員について、今日2時間早く返せば残業手当を支払わなくても構いませんか。

A:2時間分の時間外手当の支払が必要です。(労働基準法第37条)

Q:当社では、残業時間の計算を30分単位で行っており30分未満は切り捨てています。この取扱いでよろしいでしょうか。

A:割増賃金の計算に当たっては、事務簡便のため、その月における時間外の総労働時間数に30分未満の端数がある場合にはこれを切り捨て、それ以上の端数がある場合にはこれを1時間に切り上げることができるとされていますが、原則的には、毎日の時間外労働は1分単位で正確に計上するのが正しい労働時間管理といえます。労働時間の端数計算を、四捨五入ではなく常に切り捨てで計算することは、切り捨てられた時間分の賃金が未払となるため認められていません。(労働基準法第37条)

Q:会社の経営が厳しく労使合意の下、割増賃金の割増率を2割5分から2割に引き下げたいと考えていますが、可能でしょうか。

A:労働基準法は強行法規であり、労使双方が合意している場合であっても割増率を引き下げることはできません。(労働基準法第37条)

Q:当社では、外回りの営業職の社員には毎月残業手当が定額で支払われていますが、これは法律違反にはならないのでしょうか?

A:残業手当額が法の定める計算方法による割増賃金を上回っていれば、定額支給も可能ですが、現実の労働時間に基づき計算した割増賃金が定額支給する手当額を上回る場合は、その差額を追給しなければなりません。一方、労働時間の算定に関して労働基準法では、労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす旨定められています。この際、その「みなし労働時間」を労使協定に定め、「みなし労働時間」に法定労働時間を超える時間外労働が含まれる場合は、これに対応する割増賃金を支払えばよいことになります。しかし、明らかに「みなし労働時間」が実際の労働時間にそぐわない場合は、労使協議の上、適正な労使協定を結ぶ必要があります。(労働基準法第37条)(労働基準法第38条の2)

Q:1ヶ月単位の変形労働時間制で他の週に休日を振り替えたとき、変形期間内の総労働時間数は変わらず、週1回の休日も確保できている場合、割増賃金は必要ないでしょうか?

A:1ヶ月単位の変形労働時間制は、特定された週及び特定された日について法定労働時間を超えることが可能となる制度ですから、事前に週40時間を超えることが特定されていない週については法定労働時間を超えて労働させることはできません。例を挙げて説明いたしますと、1日8時間で休日が2日ある週の休日1日を翌週に休日振り替えしますと、その週の労働時間は、40時間から48時間となります。そうすると、その週はあらかじめ週40時間を超えることが特定されていない週であるにも関わらず週40時間を超えて労働することとなり、8時間の時間外労働となります。

Q:フレックスタイム制における時間外労働の取扱いについて教えてください。

A:フレックスタイム制における時間外労働は、清算期間を単位として考えます。清算期間における実働時間が法定労働時間の総枠の範囲を超えた場合、当該超えた時間が時間外労働となります。このため、時間外労働協定も、1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、清算期間を通算して時間外労働することができる時間を協定すれば足ります。

出典:大阪労働局「よくあるご質問


🔴弊所が持ち合わせている事例や業務フローの一例(アンサーはクライアント先のみにご提供します)

【退職・解雇・雇止め】

Q:懲戒解雇と普通解雇の違いは

Q:試用期間中の解雇は可能か

Q:事業所の統廃合により廃止される事業所の従業員を解雇するとき

Q:休職と復職を繰り返す従業員を解雇することができるか

Q:解雇した従業員が解雇後に加入した労働組合(ユニオン)から団体交渉を申し入れられたとき

Q:懲戒解雇した者に対して退職金を減額することや支給しないことの可否

Q:事業縮小に伴う余剰人員の整理解雇を行うとき

Q:労働条件の変更に応じないことを理由として解雇することはできるか

Q:社内での不倫関係を理由に解雇するとき

Q:勤務態度不良や協調性に欠ける従業員を解雇するとき

Q:セクシュアルハラスメント等を理由として懲戒解雇できるか

Q:無断欠勤・遅刻・早退を繰り返す従業員を解雇するとき

Q:私傷病で休職している従業員を解雇することはできるか

Q:経歴詐称で懲戒解雇するとき

Q:私生活での不祥事により懲戒解雇した社員の退職金はどの程度減額してもよいか

Q:能力不足・勤務成績不良を理由に解雇するとき

Q:人員削減のため有期労働契約の従業員の一部のみを雇止めするとき

Q:正社員の削減に先立って有期労働契約の従業員を雇止めするとき

Q:通勤手当を不正受給していた従業員を解雇することはできるか

Q:業務成績を上げない場合は解雇するという条件付きで採用することは可能か

Q:内部告発等を理由とする懲戒解雇は無効となるか

Q:職務を特定して採用された職員に対する解雇が有効と認められるか

Q:職場での異常な言動が見られ精神疾患が疑われる従業員を解雇するとき

Q:時間外・休日労働命令に従わない従業員を懲戒解雇するとき

Q:信頼関係の喪失による解雇とは

Q:SNS等で会社の内部情報を発信している従業員を懲戒解雇できるか

Q:退職金支給後に懲戒解雇事由が発覚した場合の対応は

Q:退職勧奨を実施するとき

Q:労働契約を終了・解除するときは

Q:退職勧奨に関する規定の問題点と退職勧奨における留意点

その他400件以上の事例・業務フローがあります。


【労働時間】

Q:WEB学習に従事した時間は労働時間に該当しないとされた事例

Q:仮眠時間は労働時間に含まれるか

Q:研修会への参加時間は労働時間か

Q:みなし労働時間が適用されるための「労働時間を算定し難いとき」の判断基準とは

Q:営業社員に対するみなし労働時間制の適用は

Q:変形労働時間と割増賃金の支払い

Q:事業場外のみなし労働時間制を実施するとき

Q:自然災害に備えての自宅待機時間は労働時間か

Q:1か月単位の変形労働時間制の有効性が否定された事例

Q:労働時間の把握方法を自己申告の方式で行うとき

Q:タイムカード等による出退勤管理をしていなかった場合の労働時間の判断において使用者の不利益として扱った事例

Q:労働時間の管理にパソコンのログオン・オフ時刻を利用できるか

Q:管理監督者として労働時間管理をしようとするとき

Q:所定労働時間が深夜に及ぶ場合の深夜割増賃金の定め方

Q:ICカードで労働時間管理をしている場合の割増賃金の算定は

Q:出張先から会社へ戻って業務を行う場合、移動する時間は労働時間に当たるか

Q:事業場外労働のみなし労働時間制を導入する場合の規定方法-在宅勤務を導入する場合-

Q:パート社員から賃金減額を容認のうえで、労働時間の短縮の申出があったら

Q:パートタイマーにも1年単位の変形労働時間制は導入できるか

Q:1か月単位の変形労働時間制における振替と割増賃金の清算の規定方法

Q:ICカードの使用履歴上の滞留時間に残業して時間外の労働をしていたものとは認められないとされた事例

Q:ハンバーガーなどの飲食物を販売する会社の店舗に勤務する店長が労働基準法41条2号にいう管理監督者に当たらないとして、未払の時間外割増賃金・休日割増賃金等請求が認容された事例

Q:事前の残業許可申請書に記載した残業時間に基づいてのみ割増賃金を支払うことは認められるか

Q:時間外に行う自主参加による企業内教育や小集団活動に対する割増賃金支払の要否

Q:休憩時間中に来客対応や電話当番を命じるとき

Q:自動車運転者に休憩時間を取らせるとき

Q:持ち帰り残業と許可制の定め方

Q:従業員が長時間労働による精神疾患を発症したとき

Q:始業時間前の着替え、用具点検等(始業時間前準備行為)を命じるとき

Q:定額残業代として支給された営業手当の有効性

その他350件以上の事例・業務フローがあります。


冒頭でも記載しましたが、労働問題は個別具体的なことが多く、一概に判断することはできません。ただ法律やルールとして決まっているものを守らない場合にはリスクは当然に高まります。今回ご紹介したQ&Aはごく一部ですので、不安や疑問に思われた方は近隣の労働局、労働基準監督署、顧問の社労士、お知り合いの社労士、地域の社労士会、社労士による無料相談などでお尋ね頂ければと思います。また紛争になってしまうと弁護士の領域になります(一部特定社労士が関与できる部分もあります)ので、顧問の弁護士、お知り合いの弁護士、弁護士会などにご相談されることが最善だと感じます。リスクマネジメントの観点とすれば、低減・回避・転嫁・保有という手法があり、許容できる範囲も企業によって違います。上手く各専門家を活用し、企業の維持・発展にご注力いただければと存じます。

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