本日、令和5年度の公的年金制度の財政収支状況が公表されました。公的年金の支給については様々な予測がされており、このままの制度でいくと将来年金は破綻するのではないか、支給が70歳からになるのではなど不安な声も多く聞かれます。今回は、現在の公的年金制度における財政状況を過去との比較を合わせて見ていきたいと思います。
🔴5年に1度の財政検証
年金制度は、5年に一度、健康診断のような形で行う「公的年金の財政検証」によって100年先までの見通しを検証します。直近では令和6年7月に最新の財政検証が行われました。
出所:厚生労働省「年金数理部会の役割について」
🔴公的年金の収支状況
単位:兆円(兆円未満切り捨て)
🔴被保険者
国民年金
厚生年金
🔴被保険者の推移
🔵国民年金第3号被保険者(被扶養配偶者)の比率
🔴平均年金月額(老齢基礎年金・老齢厚生年金)
単位:万円
🔵年金受給者数の推移
単位:万人
🔴保険料の推移
出所:厚生労働省「公的年金財政状況報告-令和5(2023)年度-」
今回は令和5年度の公的年金制度の財政収支状況を見てきました。特筆すべきところは、年金の受給者数が倍増している点と、厚生年金の被保険者が大幅に増加している点です。前者はこれから更に年金を受給される方が増えていくので財源をどうするのかという問題と、後者は被保険者・事業所ともに保険料負担が増えている点です。特に社会保険が適用されないパート等を多く雇用していた会社は大きな負担となり、賃上げどころではない状況でもあります。国の施策とすれば、保険料を上げることは厳しいので、国民年金の第3号から保険料を徴収するか、老後の年金の支給を他の先進国のように67歳ないしは70歳に引き上げるということが想像できます。どちらも厳しい反発が予想されますが、今後の政府の手腕に注目です。