高額療養費が段階的に見直されます。医療費の上昇が続く中、改革が必要なのは間違いありませんが、医療費の抑制ではなく負担額の増加となることに驚きを隠せません。社労士の立場上、言いたいことを言えないもどかしさはありますが、取りやすいところから取る最近の施策に対して疑問を抱かざるを得ません。今回は令和7年8月から見直される高額療養費について見ていきます。
🔴高額療養費制度とは
医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。
【高額療養費のイメージ】
※解りやすいように簡潔に記載しています。上記は仮のケースです。実際は様々なパターンがあります
出所:厚生労働省「高額療養費制度について」
🔴医療費一部負担(自己負担)「割合」の変遷
70歳以上
70歳未満
出所:厚生労働省「医療保険制度の患者一部負担の推移」
🔴医療費一部負担(自己負担)「額」について
現在の自己負担限度額は「5段階」に区分されています(70歳未満の場合)
※総医療費とは、前掲の【高額療養費のイメージ】の「かかった医療費」のことです
※多数回該当とは、高額療養費として払い戻しを受けた月数が1年間(直近12ヵ月間)で3月以上あったときの場合
※70歳以上75歳未満の場合・後期高齢者医療制度の場合・組合健康保険の場合など、上記に当てはまらない場合がありますのでご注意ください
出所:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」
🔴今回の改定での変更点
3段階に分けて順次引き上げられます
①段階目(令和7年8月~令和8年7月)70歳未満の場合
②段階目(令和8年8月~令和9年7月)70歳未満の場合
③段階目(令和9年8月~)70歳未満の場合
出所:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」
※70歳以上75歳未満の場合・後期高齢者医療制度の場合・組合健康保険の場合など、上記に当てはまらない場合がありますのでご注意ください
今回は簡単ではありますが、令和7年8月からの高額療養費制度の見直しについて見てきました。この変更点に関しては説明が難しいのか、あまり周知したくないのか解りませんが、ほとんど報道されていません。高額療養費制度は冒頭でもありましたが「医療費の家計負担が重くならないよう」に設計された制度です。今回の見直しについては、家計の負担が重いのではというところと、先に見直すところがあるのではないかという疑問を持ちました。