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令和7年1月1日より、労働者死傷病報告の電子申請が義務化されます

🔴労働者死傷病報告とは

労働者が労働災害等により死亡し、又は休業したときには、事業者は所轄の労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出しなければなりません(労働安全衛生規則第97条)

こちらは労災保険の「休業補償給付を受けない場合」でも報告が必要となります。※労災保険法ではなく労働安全衛生法で義務付けされているため

Q労働者が業務中に怪我をしましたが、労災を請求しないとのことですので、報告書は提出しないで良いですか?

被災労働者が労災保険給付の申請を希望しないとすると、これは使用者にとって「労災隠し」の問題が出てきます。労災隠しとは、事業者が労災事故の発生を隠すため、労働者死傷病報告書を故意に提出しない、あるいは虚偽の内容を記載して提出することをいいます。罰則:50万円以下の罰金。また業務上のケガについては、健康保険を使う事は適切ではなく、労災保険が支払われるべきものですので、労災保険の給付申請をすることが必要です。

労災保険を使うと保険料が上がってしまうと聞きましたが、軽度の事故なら労災保険を使わない方が良いのでしょうか?

大前提として労働災害では健康保険が使えませんので、労災からの給付になります。また20人以下の企業では労災保険を使用しても保険料が上がりません(通勤災害でも経営者の責任ではないため保険料は上がりません)。20人以上でも業種などの危険度によって(災害度係数 = 労働者数 × (業種ごとの労災保険率-非業務災害率) ≧ 0.4)変わってきます。例えば、金属製品製造業なら48人まで、電気機械器具製造業なら100人まで労災保険を使用しても保険料が上がりません。出所:厚生労働省「最低労働者数早見表


🔴電子申請の義務化

労働者死傷病報告はこれまで電子申請は任意でしたが、令和7年1月1日からは電子申請が義務化されます。また下記の報告も同様に電子申請が義務化となりますのでご注意ください。※経過措置として、当面の間、電子申請が「困難な場合」は書面による報告が可能です。

死傷病報告1

出所:厚生労働省「労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されます


🔴入力支援サービスの活用

上記の書類は入力支援サービス(労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係るもの)がご利用いただけます。入力支援サービスとは、インターネットを利用し、企業の皆様が所轄の労働基準監督署に行う申請や届出の支援をするサービスです。

届出する様式(帳票)を作成・印刷したり、画面から入力した情報をe-Govを介して直接電子申請*することができます。

*「電子申請」を利用する場合、e-Govアカウント、GビズID、またはMicrosoftアカウントが必要です。

*「電子申請」の場合は、スマートフォンなどのモバイル端末での操作もできます。

*「電子申請を利用しない」場合は、申請や届出のオンライン申請はできません。 作成した様式(帳票)を印刷して所轄の労働基準監督署に提出してください。

出所:厚生労働省「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス


🔴死傷病報告書サンプル

死傷病報告書サンプル

死傷病報告書サンプル2

出所:厚生労働省「労働者死傷病報告(休業4日以上)様式


🔴死傷病報告書の提出時期

死傷病報告2

※休業4日「以上」で休業補償給付を請求の場合、休業補償給付支給請求書・賃金台帳・出勤簿・平均賃金算定内訳・傷病の状態等に関する報告書などが必要になります

※一般的な例を挙げています。その他詳細は、所轄労働基準監督署にご確認ください。


今回は労働者死傷病報告について見てきました。労働災害が発生すると、会社も被災者もパニックになってしまい適切な処理がなされないことがあります。その結果、被災者が十分な治療を受けられなかったり、会社が法令違反で信用を失ってしまったりする可能性もあります。まずは正しい知識や情報を得て、対策を検討頂ければと思います。ご不明な点は、近隣の労働基準監督署や社会保険労務士などにご相談下さいませ。

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