103万円の壁の問題などで紆余曲折した令和7年度の税制改正。改正内容がわかりやすく記載されているパンフレットが財務省より発表されました。社労士の専門分野である労働・社会保障関連も法改正が例年多いですが、税理士さんの専門分野である税務関連も毎年法改正に振り回されている印象があります。今回は既出の内容でご存知の方も多いと思いますが、令和7年度の税制改正について復習もかねて見ていきたいと思います。
🔴改正内容
大きく6つに分類しています
🔴個人所得課税
(1)物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応
➀所得税の基礎控除の引上げ
※収入が給与だけの場合 ※万円以下切り捨て
※令和7年11月までの給与及び公的年金等の源泉徴収事務に変更は生じません。
➁給与所得控除の最低保障額の引上げ
➂大学生年代(19歳以上23歳未満)の子の親への特別控除の創設
特定扶養控除
特別控除
※特定扶養控除または特別控除は一方のみの支給
(2)子育て支援に関する政策税制
子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
※新築住宅の床面積要件について合計所得金額1,000万円以下の者に限り40㎡に緩和されます。
※その他:子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充 (令和7年限り)
※その他:子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充 (令和8年限り)
(3)老後に向けた資産形成の支援(案)
企業型DC(確定拠出年金)・iDeCo(個人型確定拠出年金)等の拠出限度額の引上げ
➀国民年金「第2号被保険者」のiDeCo独自の限度額( 企業型DCとの併用型・2万円)の廃止
➁国民年金「第2号被保険者」のiDeCo独自の限度額( 他制度未加入・2.3万円)の廃止
➂国民年金「第2号被保険者」の共通拠出限度額:7,000円引上げ(55,000円→62,000円)
🔴法人課税
地域経済を支える中小企業の取組みを後押しする税制
➀売上高100億円超を目指す中小企業への更なるインセンティブ措置
【中小企業経営強化税制】対象資産に建物が追加
➁中小法人等の軽減税率の特例の延長等
・適用期限を令和8年度末まで2年延長する
・所得10億円超の中小法人等には、17%の税率を適用する
・グループ通算制度の適用を受けている法人を特例税率の対象法人から除く
🔴消費課税
外国人旅行者向け免税制度の見直し
免税販売要件の見直し
🔴国際課税
新たな国際課税ルールへの対応
年間総収入金額が7.5億ユーロ(約1,208億円)以上の多国籍企業を対象に
➀親会社等の税負担が最低税率(15%)に至るまで課税
➁自国に所在する事業体の税負担が最低税率(15%)に至るまで課税
🔴防衛力強化に係る財源確保のための税制措置
➀防衛特別法人税
・法人税額に対し、税率4%の新たな付加税として、防衛特別法人税を課す
防衛特別法人税 = (基準法人税額 - 基礎控除額 年500万円) × 税率 4%(税率23.2%×4%≒約1%)
※令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用する
➁たばこ税
加熱式たばこについて、紙巻たばことの間の「税負担差」を解消するため、課税方式の適正化を行い、その増収分を活用するとともに、国のたばこ税の税率を「1.5円/1本」引上げる。
🔴納税環境整備
デジタルデータによるシームレスな処理に資するための電子取引データの保存制度の見直し
新設する送受信・保存の要件
出所:財務省「令和7年度税制改正」
今回は令和7年度の税制改正について見てきました。弊所のクライアント様は、どこまでが税務でどこからが労務だと認識されていらっしゃらないケースも多々あります。その際に、税務の最低限の知識を知っておくことで労務でアドバイスできる幅も変わってきます。今回は簡単なまとめになってしまいましたが、詳しくは財務省のガイドライン等をご覧くださいませ。