昨日は令和7年度助成金の全体像を見てきました。本日は利用されることの多い「主な助成金」の詳細を見ていきたいと思います。
🔴中小企業と大企業の定義
中小企業とは下記に該当する企業をいい、大企業とは中小企業に該当しないものをいいます。
🔴雇用調整助成金
景気の後退等、「経済上の理由」により事業活動の縮小を余儀なくされ雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向(以下「休業等」といいます。)を行い、労働者の雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成。
出所:厚生労働省「雇用調整助成金」
🔴特定求職者雇用開発助成金
高年齢者、障害者、母子家庭の母などの就職困難者を、ハローワークや民間の職業紹介事業者などの職業紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して助成。
※出入国管理及び難民認定法第61条の2第2項に規定する補完的保護対象者の認定を受けている者
出所:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金」
🔴トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
職業経験、技能、知識の不足等から安定的な就職が困難な求職者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行雇用する事業主に対して助成。
※対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合:月額最大5万円(最長3か月間)
※就職が困難な求職者とは、2年以内に2回以上離職・離職している期間が1年を超えているなど
出所:厚生労働省「トライアル雇用助成金」
🔴キャリアアップ助成金(正社員化コース)
有期雇用労働者等を正社員転換した事業主に対して助成。
加算額
※重点支援対象者とは、
➀雇入れから3年以上の有期雇用労働者
➁雇入れから3年未満で
・過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
・過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
➂派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者
出所:厚生労働省「キャリアアップ助成金」
🔴人材開発支援助成金
事業主等が雇用する労働者に対して、その職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成。
※()は大企業 ※賃金助成額は一人1時間当たりの額
出所:厚生労働省「人材開発支援助成金」
🔴業務改善助成金
事業場内で最も低い労働者の賃金を引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行う中小企業事業主に対して助成
※全ての労働者の賃金を新しい事業場内最低賃金以上まで引き上げる必要があります。
助成率
※助成対象となる経費は「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等」です。
出所:厚生労働省「業務改善助成金」
今回は利用されることの多い助成金をピックアップして見てきました(概要になりますので、ご検討やご申請される際は厚生労働省のホームページや助成金の詳細をよくご覧になって下さい)。助成金は企業にとって魅力的な制度ですが、要件を確認したり、必要書類や申請書類の作成であったりと受給に至るまでに手間と時間が掛かります。また受給できたとしても、その後の調査で要件を満たしていなかったということで全額返還というケースもありますし、要件を満たすため無理に制度を変えることは企業にとって大きな負担になってしまうことも考えられます。まずは現状の労務管理をしっかりし、実態に合った助成金を選定していくことが望ましいのではないでしょうか。