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令和7年度 年金改革法案が閣議決定されました

年金改革法案が閣議決定されました。閣議決定イコール法案成立ではありませんが、今年度予算成立時のように一部野党の賛成があれば今回の法案も成立する可能性が非常に高いです。今回は年金改革法案の歴史と今回の改正点などについて見ていきたいと思います。


🔴年金改革の歴史(主なトピック)

出所:厚生労働省「公的年金制度の歩みとこれまでの主な制度改正

改正案は各所で解説されていると思われますので、この記事では今回見送られた改革について見ていきたいと思います。


🔴今回見送られた主な改革

基礎年金の底上げ措置

就職氷河期等の年金が少ない(3割ほど少ないという試算)ことを勘案し、基礎年金(国民年金)の受給額を底上げする案がありました。満額で「月額69,308円(年間831696円):令和7年度」(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合)では生活が厳しいのは誰が見ても明らかです。

ざっくりとした仮定の話(特例等考慮なし)

※標準報酬30万円とした場合(会社負担との合算額)ボーナスはなしと仮定します。

30万円×5.481/1000×480ヶ月=789,264円(厚生年金保険)+831,696円(国民年金)=1,620,960円

国民年金は約10年、厚生年金保険は約16年(実際は第3号被保険者の国民年金保険料・国民年金受給額も含んでいますので一概にはいえません)で支払額と受給額がイコールになる計算です。(老齢年金だけでの話)

🔵平均寿命と厚生年金受給期間の推移

男性

女性

平均寿命の伸びが受給期間の伸びにも影響し、社会保障費の増加に繋がっています。


第3号被保険者制度の廃止または縮小

第3号被保険者の要件

この3番の生計維持要件に、年間収入130万円(51人以上の会社は106万円:106万円の壁)があります。

🔵海外の例(無業の配偶者についての社会保障)

国民皆年金である日本と異なり、諸外国の年金制度の適用範囲は、稼働収入のある者に課されるのが一般的です。またアメリカは無業の配偶者への優遇制度はありますが、ヨーロッパでは育児や出産においてのみの優遇となっています。

出所:厚生労働省「諸外国における無収入の配偶者の取扱い

※日本でも平成13年に「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会報告書」(第3号被保険者制度の見直し案(6案))で議論されています。

個人的には「6案」+「障害等をお持ち(ご本人やご家族)で働けない方」が良いのではと感じます。ただ、厚生年金保険料には第3号被保険者の分の保険料も勘案されていますので、第3号を廃止・縮小となれば厚生年金保険料減額の議論も当然出てくるものと思われます。

出所:厚生労働省「第3号被保険者制度について

🔵他国の年金受給年齢と平均寿命

出所:日本年金機構「主要各国の年金制度の概要」https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/kunibetsu/gaiyo.html

出所:厚生労働省「平均寿命の国際比較」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life23/dl/life23-15.pdf


今回は年金改革法案の歴史と今回の改正点(正式に決定しましたら詳細にご案内します)、今回見送られた主な改革案を見てきました。年金は改正に改正を重ねていますので、複雑で解りづらい部分も多々あると思います。ただ年金制度は老後を生きるうえで最も重要な社会保障ですので、全世代が納得して加入するものでなければなりません。今後の国会での議論に期待したいと思います。

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