🔴人権DDとは
・DD(デューディリジェンス)とは、辞書で引くと「相当・適切・正当な注意や配慮」とあります。 これを人権に当てはめると「人権に対して適切で正当な配慮をしなさい」というメッセージになります。ヨーロッパでは16世紀以降に始まった奴隷制度が19世紀になると人道的な立場からの批判に繋がり、イギリスでは1833年に奴隷制度が廃止され、アメリカではリンカーンによる奴隷解放宣言が1863年に行われました。
🔵近年、奴隷制度まではいかないまでも、労働者の人権に対して適切で正当な配慮が行われていないとの観点から、ヨーロッパやアメリカで人権に対してもう一度考え直そう、明文化しようとの動きが強まり法整備が進んでいます。日本でも欧米に遅れつつありますが、人権DDに対して「働き方改革」など人権を尊重した動きが強まってきています。サスティナビリティ(持続可能性)を含めた、企業のあり方が問われ始めてきています。
🔴世界各国の法整備や取組み
2011年 国連にて世界全体で取り組むべき行動指針「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されました」
2015年 イギリスで「現代奴隷法」が成立。奴隷労働と人身取引についての開示を義務化
2017年 フランスで「注意義務法」が成立。人権DD・環境DDへの開示を義務化。
2018年 EUで「非財務情報開示指令」を発表。人権DD・環境DDへの開示を義務化。
2019年 オーストラリアで「現代奴隷法」が成立。奴隷労働と人身取引についての開示を義務化
2021年 ノルウェーで「人権DD法」が成立。人権DDの開示を義務化。
2022年 アメリカで「ウイグル強制労働防止法」が成立。中国ウイグル自治区の製品の輸入を禁止。
2022年 オランダで「児童労働注意義務法」が成立。児童労働DDを義務化。
2023年 ドイツで「サプライチェーン・デューデリジェンス法」が成立。人権DD・環境DDへの遵守を義務化。
2024年 EUで「企業サステナビリティデューデリジェンスに関する指令(CSDDD)」を採択。
🔵世界中で人権に対するデューデリジェンスを開示・遵守する動きが高まってきています。
日本でも2020年に、企業活動における人権尊重の促進を図るため、「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020ー2025)が策定されました。
2022年には、「責任あるサプライチェーン等における 人権尊重のためのガイドライン」を日本政府のガイドラインとして決定しました
外務省「ビジネスと人権」
参考文献:JETRO
参考文献:独立行政法人労働政策研究・研修機構
参考文献:アンダーソン・毛利・友常法律事務所「欧州コーポレート・サステナビリティ・デュー・ディリジェンス 指令の採択」
🔴法務省 企業が配慮すべき主要な人権リスクとして26種類を定めています
🔴人権尊重への取り組みの具体的なプロセス
出典:法務省「ビジネスと人権」
🔴社労士が果たす役割
社労士として人権DDに関与できる部分は、かなり大きいと感じました。特に労働環境の把握・改善やハラスメントの防止、企業にとっての危機となる部分に対してのリスクマネジメントなど。世界的な動きを見ましても、大企業から義務化され少しずつ中小企業に浸透させていっています。大企業と取引のある会社は早い段階で対応を求められるかも知れません。まずは現状を理解することから始めましょう。
🔵MYじんけん宣言
・弊所も宣言してみました
参考URL
経済産業省:人権デュー・ディリジェンスの実務例
大阪法務局:最近よく聞く「ビジネスと人権」や「人権デュー・ディリジェンス(人権DD)」ってなに?