東大阪市にある製造業専門の社労士事務所です

複雑化する労働問題の「予防」を専門とする社労士事務所です

電話
メール
LINE

ヒヤリハット事例集 製造業の88事例

ヒヤリハットというと、もう聞き飽きたという方も多いのではないでしょうか。弊所は保険代理店を併設しておりますので、ヒヤリハットで済まない重大な事故を数多く見てきています。あの時もう少し気を付けて運転していれば・・・、安全確認を怠ったために取り返しのつかないことが・・・など枚挙にいとまがありません。確かに従業員の立場からすると、ヒヤリハットの研修などは面倒くさい点もあるかも知れません。ただ、ヒヤリハットで済んでいるのも「運が良かっただけ」というのも事実です。今回は製造業の事例を中心にリスクマネジメントの一端を共有していきたいと思います。


🔴ハインリッヒの法則

アメリカの損害保険会社の安全技師であったハインリッヒが発表した法則です。「同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重い災害(死亡や手足の切断等の大事故のみではない。)があったとすると、29回の軽傷(応急手当だけですむかすり傷)、傷害のない事故(傷害や物損の可能性があるもの)を300回起こしている。」というもので、300回の無傷害事故の背後には数千の不安全行動や不安全状態があることも指摘しています。また、ハインリッヒは、この比率について、鉄骨の組立と事務員では自ずから異なっているとも言っていますが、比率の数字そのものではなく、事故と災害の関係を示す法則としては、現在も十分に活用できる考え方です。

出所:厚生労働省「ハインリッヒの法則

ヒヤリハットを起こしてしまう時点で、重大な事故に繋がる可能性は出てきます。ヒヤリハットに行くまでの不注意や不安全行動をいかに少なくするかが重要になります。その為には、従業員の体調管理や心理的な負担を減らすことも大切なマネジメントと言えます。

私も仕事疲れで居眠りをしてしまい民家の壁に追突したことがあります。その際は怪我人などおらず壁の修理だけで済みましたが、これが歩行者の列などに追突したと考えれば、ニュースで取り上げられるような重大な事故につながっていた可能性も大いにあります。それ以来、疲れているときは車を運転しないことで不注意や不安全行動のリスクを抑えています。経営陣は従業員の安全配慮も大切な仕事ですので、ハザードの特定などリスクアセスメントに対してしっかりと検討する必要があります。


🔴ヒヤリハット事例集(製造業編)

【 墜落・転落 】

作業台清掃中、水のホースが躍ってバランスを崩し、踏み台から落ちそうになった

生コン車のホッパー部分を清掃中、足を滑らせステップから転落しそうになった

積み荷の揺り返しによりフレコンバッグが当たり、荷台から転落しそうになった

蛍光灯を取り付ける作業中、移動式足場から足を踏み外しそうになった

【 転倒 】

女性作業員が台車上の容器の移動作業中、容器を持ち上げたときに足を台車上に乗せてしまい、台車が動いて転倒しそうになった

冷蔵庫内で運搬作業中、床に堆積していた霜で滑り転倒しそうになった

同僚作業員と鉄板を運搬中、足がもつれ転倒しそうになった

床面とエレベーターの「かご」の間の段差に引っ掛かり、引き出そうとしていた台車が転倒した

工場内の斜路でトマトの入ったダンボールを運搬中によろめいた

電気計器類倉庫内で急ぎの部品調達のため、小走りで移動中、交差十字路の手前で横方向の同僚を確認、急に止まろうとしてよろめいた

フリーローラーの上に置いた板に乗りボルトを締め付けた時、転倒しそうになった

アーク溶接コードに足を引っかけ転倒しそうになった

アルミ板手運搬中コードにつまずきよろめいた

原反移し替え作業時に、床の出っ張りでつまずき、転倒しそうになった

クリーンルーム内で転倒しそうになった

材料倉庫で転倒しそうになった

柵を跨いで花壇内に入ろうとしたところ、ズボンの裾が引っ掛かった

【 激突 】

廃棄書類を捨てようと、車両のトランクから荷を取り出し振り向いたときトランクの扉に頭を打ちそうになった

フォークリフトと通行者が衝突しそうになる

走って移動中に階段下で激突した

移動式クレーンから荷卸し中、荷のバランスが崩れて回転し、ぶつかりそうになった

丸太を運搬中のホイールローダーにひかれそうになった

作業場を歩いていたところ、フォークリフトが方向転換のためバックしてきて激突しそうになった

天井クレーンのオペレーターと台車の走行レール越しに話をしていたとき、自動運転で近づいてきた台車に気づかず衝突しそうになった

台車で運搬中作業員と衝突し転倒した

自転車で片手に蛍光灯を持って移動中バイクに激突された

搬送車用通路を横切ろうとして、搬送車と衝突した

突風で屋外の冷凍庫の扉があおられた

【 飛来・落下 】

鋼材の吊上げ作業において、吊上げた鋼材のバランスが悪く、マグネットから外れて落ちそうになった

グラインダーで鋼板の面取りを行おうとしたところ、鋼板が足元へ落下した

ボール盤で加工中、「キリ粉」が飛散し眼に入りそうになる

二階から工具を落とし、下の作業者に当たりそうになった

鉄板がシャックルから外れた

フレコンバッグの繊維ベルトが切断した

フラッシュ材の切断中、材料が飛び出して人にあたりそうになった

アルミパネルを運ぶ際、パネルを落とし足に当たりそうになった

粉砕機から外れた高圧空気ホースが危うく顔に当たりそうになった

【 はさまれ・巻き込まれ 】

横中ぐり盤に腕が巻き込まれそうになった

ボール盤での穴あけ作業中、手袋が巻き込まれそうになった

樹脂の混練作業中、ゴム手袋をはめた状態で手を樹脂混練機の投入口に入れ、スクリューに巻き込まれそうになった

樹脂粉末のプレス成型作業で、プレスが下降中にプレス台に手を入れて、はさまれそうになった

製麺機の清掃中、カット箇所に指が挟まれそうになった

箱詰機を使用中、詰まった製品を取り除こうとしたところ、手が挟まれそうになった

搬送用コンベアの清掃中、手が巻き込まれそうになった

菓子生地練りローラーに手指が挟まりそうになった

簡易リフトに水産食料品を積んだ手押し台車を入れ、のぞき込みながら可動ボタンを押して頭をはさまれそうになった

小型チェーンソーで小丸太切断中、首に巻いたタオルが巻き込まれそうになった

加工鋼材の突合せ中、指をはさみそうになった

積み荷をハンドフリーで移動中、バランスを崩して揺れた

プレス機械に右手をはさまれそうになった

防寒頭巾の裾がローラーに巻き込まれそうになった

製綿機の掃除中に手を巻き込まれそうになった

食器の洗浄作業中、指をはさまれそうになった

壁紙プリント機で作業中、移動フレームに腕をはさまれそうになった

【 切れ・こすれ 】

バンドカッターで手を切りそうになった

事務用カッターで厚紙を切断中、親指を切りそうになった

カッター替え刃を素手でつかんだ

電動丸ノコを使用して作業中、回転中に歯に手が触れそうになった

落とした包丁で足を切りそうになった

【 高温・低温の物との接触 】

暖房用のジェットヒーターで暖を取っていて火傷しそうになった

【 感電・火災 】

アーク溶接の火花で作業服に火がつき、火傷しそうになった

調整作業のため機械にまたがろうとした際、電源ケーブルの絶縁被覆が破損していた箇所からの漏電によって感電した

ダクトの通気状態をライターの炎で確認

主電源スイッチを切った上での配電盤の配線変え作業

作業許可なしで作業に着手して溶媒が噴出しそうになった

鉄製のスコップでタンク内作業中に衝撃火花

フォークリフトがボンベに衝突し、アセチレンが漏洩した

喫煙所で吸殻が発火した

搬送装置の修理中感電した

分電盤の中をモップで拭いたところ感電した

錆止め用の塗料が入っていた缶に、グラインダーの火花が飛び込んだ

【 有害物との接触 】

閉塞したバルブを下から棒で突っついていたとき、閉塞が取れて内液が急に流出し、熱いアルカリ液で火傷しそうになった

入室者に注意されて有害物による中毒を免れる

同僚に止められて酸欠二次災害を免れる

ブラシの洗浄作業中にエタノールが眼に入りそうになった

ノズルが給油口からはずれ、軽油がかかってしまい危うく誤飲しそうになった

ポリ塩化アルミニウムの入った容器に次亜塩素酸ナトリウムを誤まって投入しそうになった

カッターから出る排気ガスで空気が悪くなった

目薬の充填作業中、紫外線光を浴びてしまった

計測実験中、プリズムからの散乱光が目に入射した

【 交通事故 】

冬道での交通事故

コートがドアに挟まったまま車が発進しそうになった

【 動作の反動・無理な動作 】

エアーダクト内を移動して切創を受けた

鋳砂を運搬中振り返ったところ、背中に違和感があった

大型ローラーコンベアの上を歩いて転倒し膝を打った

円筒横引きダクトの上に乗って清掃中滑り落ちそうになった

こねまぜ機の槽内に落下したへらを拾い上げようとして指が巻きこまれそうになった

ガスボンベを階段に引上げようとしたところ、腰に違和感があった


実際には大したことがない事例ですが、目的としてはヒヤリハット報告書を記入してもらうことではなく、報告書を書くことによる不注意や不安全行動の意識づけが重要だと考えます。仕事は慣れてきたころが一番危ないともよく言われます。従業員を守るためにも、会社を守るためにも、事故が起こる前の対策に時間を割くことが結果的に無駄な時間を削減でき、生産性を高められ、従業員にも還元できるのではないでしょうか。

弊所からのお知らせ

  1. 登録されている記事はございません。
PAGE TOP