先日、ストレスチェックが50人未満の事業所も対象になるとの報道があり、社労士の間でも話題になりました。精神障害の労災認定件数やメンタルヘルス不調者がいる事業場割合が増加傾向にあること、労働者の8割強が職場生活で強いストレスや不安を抱えていることなどが主な理由です。今回は、ストレスチェックの概要と問題点、各種データを共有していきたいと思います。
🔴ストレスチェックとは
労働安全衛生法で「心理的な負担の程度を把握するための検査」と定義されています。
第66条の10(原則) 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他(※1 歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理士)の厚生労働省令で定める者による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。※1 検査を行うために必要な研修を修了する必要あり
附則第4条(例外) 第13条第1項の事業場(50人以上の事業場)以外の事業場(労働者数50人未満の事業場)についての第66条の10の規定の適用については、当分の間、同条第1項中「行わなければ」とあるのは、「行うよう努めなければ」とする。
今回の報道は、この例外についての見直しです。
🔴政府の目標数値
50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施割合を、令和9年までに50%以上にする
出所:厚生労働省「ストレスチェック制度 の実施状況(令和4年)」
🔴規模別事業所数及び従業者数
出所:総務省・経済産業省「経済センサス‐活動調査」
🔴ストレスチェックの問題点
労働者のプライバシー保護の問題
高ストレス状態にあることが会社にばれて不利益を受けるのではないか
特に小・零細企業では個人が特定されるリスクがある
人的リソースの問題
50人未満の事業場では産業医もおらず、保健スタッフもいない状態でどう運用していくのか
外部委託してしまうと、問題点が改善されず目的が形骸化してしまうのではないか
実施コストの問題
実施担当者や医療関係者に係るコスト
ストレスチェックの実施は労働時間に行うのか
🔵問題点に対する対策
●地域産業保健センターやこころの耳など、現在あるリソースを活用
●好事例やミスの事例などの共有化
●今のストレスチェックの内容を同じように実施するのではなく、中小零細向けにアレンジする
●コストへの補助に助成金を活用
●厚生労働省の無料プログラムを使いやすいように整備する
出所:厚生労働省「第7回 ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」
今回はストレスチェックの概要と問題点、各種データを見てきました。明日はストレスなどにより精神障害の労災認定件数が増えていることへの問題点など、更に深堀していきたいと思います。