2025年3月26日にアメリカのトランプ大統領が自動車および自動車部品に対して25%の関税を課すとの報道がありました。出所:ホワイトハウス「米国への 自動車および自動車部品の輸入調整」この措置により、自動車産業の株価が大きく変動しており、日本にとって大きな問題になることは間違いありません。弊所の主なクライアント様である製造業でも影響があることが懸念されます。今回は関税について見ていきたいと思います。
🔴関税とは
物品の輸出入に際して課せられる税金のことであるが、物品の輸入に際して課せられる「輸入関税」を指すのが一般的である。関税額は、基準額である課税価格に関税率を乗じて算出される。
関税額 = 基準額(課税価格) × 関税率
🔵関税の3つの機能
➀財源機能
関税収入が「国の財源」となる側面に着目した場合の機能。日本においての関税収入額は約 0.94 兆円であり、国税収入に占める関税収入の割合は約 1.6%。
➁国内産業保護機能
関税を課すことにより、競合する輸入品に不利となるよう競争条件を政策的に変更し、「国内産業を保護」する機能。
➂貿易歪曲効果是正機能(制裁機能)
貿易歪曲効果を有する「措置への対抗策」として関税が用いられる場合の機能
※今回のアメリカの関税引き上げは、②に当たると思われます。
出所:経済産業省「関税」
🔴アメリカで販売した車のメーカー別内訳
出所:NHK「トランプ氏 25%の自動車関税署名 日本車も対象 国内影響は?」
※アメリカの25%関税は、2025年4月3日東部夏時間午前12時01分以降に消費のために輸入されるか、消費のために倉庫から引き出される商品に対して課税されます。
🔴ウルグアイラウンド(UR)前後の「鉱工業品」の関税率
※ウルグアイラウンドとは、国家間で自由に貿易ができるよう、ルールなどを取り決めて行く通商交渉のこと
🔴主要各国の関税率の状況(単純平均実行税率(%)順)
出所:経済産業省「主要各国の関税率の状況」
今回はアメリカにおける自動車関連の関税を中心に見てきました。トランプ大統領はアメリカファーストを第一に掲げているので、自国の労働者や産業を守る大義名分があるのでしょうが、世界の秩序の崩壊を招かざるを得ません。特に自動車産業は国の基幹産業ですので、大きな影響がでるのは必至です。今後の展開に目が離せません。