WEEKLY HR NEWS|2026.08.03–08.09
人事労務に関するニュースは毎週数多く公表されていますが、そのすべてを追いかけるのは大変です。
そこで今回は、2026年8月3日(月)〜9日(日)を中心に、経営者・人事労務担当者が押さえておきたいニュースを5つ厳選しました。最後には、保険代理店経営に関係する人事労務の話題もご紹介します。
WEEKLY DIGEST
今週の1分ウォッチ
01
大阪府最低賃金は1,231円へ
10月1日の発効予定に備え、対象者の賃金・求人条件・人件費への影響を早めに確認しましょう。
02
育児休業等給付の一部手続きが見直し・簡素化
8月1日から取扱いが変わっています。対象者がいる会社は、最新の申請方法・様式を確認しておきましょう。
03
自動車運転者を使用する事業場の81.2%で法令違反
運送会社だけでなく、荷主企業も「ドライバーを長時間待たせていないか」という視点が必要です。
04
6月の実質賃金は前年同月比1.6%増
自社も同じだけ賃上げする必要はありませんが、給与水準が採用市場から離れていないか確認してみましょう。
05
大手企業の夏季賞与は平均104万2,537円
中小企業は金額だけで競うのではなく、賞与の決め方や「働き続けたいと思える魅力」をどうつくるかが重要です。
大阪府最低賃金「1,231円」へ
—10月1日の発効予定に備えを
大阪地方最低賃金審議会は、大阪府最低賃金について、現在の1,177円から54円引き上げ、時間額1,231円とすることが適当との答申を行いました。
引上げ率は4.59%で、2026年10月1日の効力発生が予定されています。
大阪労働局の資料によると、今回の引上げによって賃金の引上げが必要となる労働者は約37万8,000人、影響率は27.8%とされています。
最低賃金が上がる際に注意したいのは、最低賃金ギリギリで働いている従業員だけではありません。例えば、新入社員やパート・アルバイトの時給だけを引き上げることで、次のようなことも起こります。
「経験のある社員との給与差がほとんどなくなる」
出典:大阪労働局「大阪府最低賃金を54円引上げ 時間額1,231円に」(2026年8月5日)
育児休業等給付、8月1日から一部の申請・確認手続きが見直し
2026年8月1日から、育児休業等給付の申請手続きに関する事務取扱いが見直されました。
今回の見直しは、厚生労働省が申請手続きを行いやすくするために実施したものです。
主な変更点
- 出生時育児休業給付金で申告する賃金の取扱い変更
- 出生後休業支援給付金における配偶者確認書類の見直し
- 同一の子について育児休業給付を受給している場合の母子健康手帳等の再提出不要
- 一定の場合における賃金証明書の一部記載省略
- フレックスタイム制・変形労働時間制・シフト制における週所定労働時間の計算方法の見直し
- 一定の事業主等について確認書類との照合を省略
また、育児時短就業期間等に係る証明書の様式例についても改訂されています。
自動車運転者を使用する事業場、81.2%で法令違反
厚生労働省は8月6日、トラック・バス・タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対して行った2025年の監督指導結果を公表しました。
監督指導を実施した4,123事業場のうち、労働基準関係法令違反が認められたのは3,346事業場(81.2%)でした。
また、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」違反も2,188事業場(53.1%)で確認されています。
主な法令違反
- 労働時間 39.3%
- 割増賃金の支払い 19.7%
- 労働時間の状況の把握 6.3%
重大・悪質な労働基準関係法令違反として67件が送検されています。
出典:厚生労働省「労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和7年の監督指導、送検等の状況を公表します」
6月の実質賃金は前年同月比1.6%増
ここから2つは、すぐに制度対応が必要なニュースというより、今後の賃金・採用を考えるための参考データとして押さえておきたいニュースです。
厚生労働省が8月5日に公表した「毎月勤労統計調査」2026年6月分速報によると、事業所規模5人以上の労働者1人当たりの現金給与総額は531,677円、前年同月比3.4%増となりました。
物価変動を考慮した実質賃金も前年同月比1.6%増となり、6か月連続のプラスです。
また、パートタイム労働者の時間当たり給与(所定内給与)は、1,444円、前年同月比4.3%増となっています。
大手企業の夏季賞与、平均104万2,537円
日本経済団体連合会(経団連)は8月6日、2026年夏季賞与・一時金の大手企業における最終集計を公表しました。
最終集計では、妥結を把握した178社のうち平均額が分かる163社について集計され、加重平均による妥結額は1,042,537円となりました。前年の最終集計との比較では、7.04%増です。
なお、調査対象は原則として従業員500人以上の主要企業です。
出典:一般社団法人 日本経済団体連合会「2026年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」
金融庁が指摘した「保険代理店の人材不足」という課題
8月6日、金融庁から「2026年 保険モニタリングレポート」が公表されました。
金融庁は2025事務年度、保険代理店における体制整備や比較推奨販売の適正化、過度の便宜供与防止などについてヒアリングを実施しています。
その結果、多くの代理店で体制整備が進められている一方、次の3点などが共通の課題として認識されています。
「人材不足」「取組の実効性確保」「保険会社との連携」
責任者と内部管理をめぐる課題
法令等遵守責任者・統括責任者についても、次のような課題が挙げられています。
- 人材育成
- 補佐体制の整備
- 営業とコンプライアンス管理を兼務する場合の実効性
- 責任者の配置単位や人数
さらに内部管理については、AIを活用した証跡管理や外部監査の活用などが進む一方、監査人材の確保などが課題とされています。
出典:金融庁「2026年 保険モニタリングレポート」
※保険代理店における募集管理態勢の高度化については、レポート本文33ページ以降に掲載されています。
今週のまとめ
今週は、すぐに対応を考えたい最低賃金・育児休業等給付から、今後の経営判断に役立つ賃金・賞与動向まで、幅広いニュースがありました。
大切なのは、ニュースを「知っている」だけで終わらせず、「では、自社では何を確認すればよいのか」まで考えてみることです。
制度改正や社会の変化をきっかけに、給与、人材配置、働き方、組織体制を少しずつ見直していくことが、安定した経営につながります。
今後も、経営者・人事労務担当者の皆さまに役立つ情報を、「社労士の視点」を交えながら分かりやすくお伝えしていきます。











