本日、人気バンドのメンバーが代表を務める会社で、「雇用調整助成金」の不正受給を労働局から指摘され、1億円を返還したというニュースがありました。
雇用調整助成金とは、雇用保険から支給される助成金のひとつで、労働者の「雇用の維持」を図る目的に対して助成されます。特にコロナ過で、休業を余儀なくされた企業やお店での利用が急増しました。コロナ過では特例措置がとられ、通常の「2/3」が「4/5」に、また解雇等を行っておらず、売上げの減少などの要件を満たす企業には、「10/10」という破格の措置も取られました。緊急時のため、原則必要な休業等の計画届の提出も不要にしたため、申請すれば支給される(労働局も申請が多すぎて対応しきれず)案件も多くあったと思われます。
その後、コロナ過が落ち着き、労働局の現地調査や従業員からの申告などにより次々と不正受給(悪意あるなしを問わず・受給要件の不備等含む)が明るみになり、不正受給した企業名の公表・関与した社労士の懲戒処分(失格処分や1年間の資格停止処分)などがニュースで報道されています。
🔴不正受給のペナルティとして
①「不正発生日を含む期間以降の全額」+「不正受給額の2割相当額」(ペナルティ)+「延滞金」の合計額を返還請求
②雇用調整助成金だけでなく、他の雇用関係助成金も5年間の不支給措置
③悪質な場合、捜査機関に対し刑事告発
が課せられます。
コロナ過前の2019年の雇用調整助成金の支給金額は50億円弱だったのに対し、2020年は3兆1555億円、2021年は2兆3489億円、2022年までのコロナ期だけで、約6兆円が支給されました。今回の件は、有名人が代表を務める会社の不正受給でしたので大きくニュースになりましたが、まだまだ氷山の一角です。労働局も不正受給の対応に力を入れていますので、今後も同じような報道が続きそうです。