先日、全国社会保険労務士会連合会が取り組んでいる、ビジネスと人権における推進社労士に認定されるために2日間(プラス事前課題・事後課題あり)みっちりと研修を受けてまいりました。個人的な感想としましては「論語と算盤」のように、ビジネスをする上で人権尊重というのは避けて通れない課題になってきていると感じました。今回は、以前の記事「人権DD(デューディリジェンス)とは? 企業に求められる取組み」から、さらに具体的な事例を交えて見ていきたいと思います。
🔴最近大きく報道された人権問題
🔵フジテレビ
女性社員へのハラスメント問題が大きく報道されました。大企業だけに、しっかりとした人権方針が策定されていますが、実際は機能していなかったことが浮き彫りになりました。
🔵ジャニーズ事務所(現:SMILE-UP.)
創業者の長年にわたる性加害行為が問題になりました。芸能界における人権意識の欠如が明らかになり、事務所の存続にまで発展しました。
🔵ユニクロ(ファーストリテイリング)
男性用シャツが、ウイグル人への強制労働が疑われている中国の新疆ウイグル自治区の綿花で製造された可能性があるとして、同年1月にアメリカへの輸入が差し止められました。
🔵アップル社・テスラ社など5社
スマートフォンや電気自動車に広く使われているリチウムイオン電池の材料であるコバルトの採掘に関して、6歳前後の子どもを含む14人の子どもたちが、死や負傷に至る長時間労働に従事させられていたとの報告があり、コンゴ民主共和国での児童労働を助長しているとして、人権団体によって訴訟を起こされました。
🔴人権問題で起こる主な不利益
🔵サプライチェーンからの離脱
🔵ステークホルダーからの信用失墜
🔵優秀な人材の確保が困難に
今回は簡単で恐縮ですが、人権問題を放置する様々な弊害を事例を交えて見てきました。前述の例は大企業のものですが、弊社のクライアントである中小企業も「そんなことは関係ない」と言えない状況になりつつあります。サプライチェーン(供給網)の一員として、同じように人権に対するコンプライアンス(法令順守)を求められますし、CSR(企業の社会的責任)アンケートが届いている企業も多くあります。逆手に取れば、弊社は人権に対してこんな取り組みをしているので安心して取引できますというアピールポイントにもなります。ステークホルダー(利害関係者)への安心感にも繋がるかも知れません。弊所もクライアント様に価値を提供できるよう継続して勉強しておきます。さらに詳細が知りたい方は、ILO国際労働機関・法務省「今企業に求められる「ビジネスと人権に関する調査研究」報告書「ビジネスと人権」への対応詳細版」などのページもご参照下さいませ。